金曜日, 10月 03, 2003

情報化による社会変化


1980年にアルビン・トフラーがその著作「第三の波」のなかにおいて予想した,情報化による社会変化が日毎に現実化している. アルビン・トフラーは「人類はこれまで大変革の波を2度経験してきた」と述べ,第1の波を農業革命,第2の波を2度の産業革命とし大量生産,大規模化, 中央集権,標準化・均一化,規格化・分業化がなされ生産性が急速に上昇したとする. そして,彼の指摘する第3の波が多品種・少量生産,地方分権,自由化・個性化・多様化を特徴とする情報革命であるとする. 過去において,この種の第3の波の開花,情報化時代の到来が叫ばれたことがある. しかし,その本格的開花は90年代米国におけるIT革命を待たなければならなかった.

発明された製品が国民の25%に浸透するまでの年数
 
発明年
普及にかかった年数
電気
1873
45
電話
1876
35
自動車
1886
55
飛行機
1903
64
テレビ
1926
26
PC
1975
16
携帯電話
1983
13
internet
1991
7


インターネットの普及は様々な他の要因と複雑に絡み合って経済に大きな影響を及ぼしている. かつて,米国における資本主義展開の嚆矢となった電話や戦後経済の象徴的存在である自動車の普及も確かに当時の経済にあらゆる意味において大きな影響を与えた. 今日のインターネットを中心としたIT革命の最も大きく異なる点はそのスピードにある. 電気は発明から広く普及するまでに45年の歳月を要した.今日のネットワーク経済の先行事例である電話については35年.大量生産大量消費の典型的産業となった自動車の普及には55年かかった. この普及のスピードは市場経済のスピードを反映するかのごとく高速化されていった. PCの普及には16年であったが,携帯電話の普及にはさらに縮まり13年しかかからず,インターネットの普及はたったの7年である. この普及スピードの高速化に伴って,各製品の与えるインパクトはスピードに反比例して大きくなっていったといえる.

アメリカ式製造システム

大量生産方式の起源は19世紀の米国で始まりました.

産業構造の転換点となった産業革命が起こったのは英国です.

しかし,英国で発明された各種の技術が画期的に生産方法にまで革新の範囲を広げる舞台となったのは米国であったのです.

この画期的生産システムは「アメリカ式製造システム」と呼ばれ,産業革命の揺籃の地である英国の産業界を感嘆させただけではなく,当時の工業的後進国であったドイツやロシア,フランスといった国へも大きな衝撃をもたらしました.

この「アメリカ式製造システム」とは「専用工作機械(special-purpose machine)を連ねた加工プロセスを用いた互換性部品(interchangeable parts)」による生産のことを指します.

19世紀当時は未だ大量生産方式は発明されていませんでしたが,このアメリカ式製造システムがやがてフォードなどの大量生産システムへの道筋を付けていくことになります.

さて,このアメリカ式製造システムですが,ホイットニーなどによる銃器生産によって初めて確立されたとされてきました.

ところが,当時の技術水準において「部品の互換性」を実現するのはかなり困難を伴うものであり,ホイットニーの銃器工場ですら「互換性」を実現し確立するという水準には達していなかったといわれています.

それでは,「アメリカ式製造システム」を確立したのは一体どこなのか.

20世紀の生産システムを方向付けるシステムを確立したのは19世紀前半のスプリングフィールド国営工廠でした.

軍需工場において実現されたのです.

このことは,後に「アメリカ式製造システム」を導入した国が主として軍需工場に導入していることから逆に考えれば

首肯できることであるとも言えます.

まさに,軍事における試みが民間の経営へと波及し,経営システムそのものをそれまでとは全く違うものと変えてしまった好例が工業化社会の幕開けにおいて見られるのです.

但し,ここで注意しておくべきこともあります.

軍事におけるシステムが経営システムに大きな影響を与えた例として,確かに「アメリカ式製造システム」を挙げることができます.しかし,スプリングフィールド国営工廠で用いられた製造システムはあくまでも「部品を共通化しておけば,戦場で銃が壊れてもすぐに修理できる」という視点に基づくものであったのです.

つまり,「互換性部品」の導入によって製造コストを下げようという視点はほとんどなかったといえます.

こうした視点は,後に銃器製造業者などが国営工廠にならって「アメリカ式製造システム」を導入して以降に主役を演じるようになります.

産業革命

英国で火蓋が切られた資本主義の発展過程.
広い意味では,いわゆる「工業化」と同じ意味を指す.「産業革命」をこの意味の「工業化」として捉える場合は,農業経済から工業経済への発展の契機として捉える.
より限定的には,18世紀末に英国で起こった綿紡績業における工場制度の成立を指す. 英国の綿紡績業は,機械設備の採用によって,それまでの職人が生産過程において重要な役割を果たした手工業を駆逐した.これによって,労働者と労働手段が分離したと言われる.
 もっとも,産業革命は英国において単独で"突然変異的に"発生した訳では決して無い.大西洋経済の拡大・深化によって,綿布に対する国内需要が激増した.この状況下,当時,大英帝国の植民地であったインドからの綿布の輸出圧力に対して代替化を図った結果が「産業革命」であったといえる.
英国ではまだまだ本格的な産業金融は形作られていなかったものの,商業や農業で蓄積された国富が,前貸しや作業場賃貸を通じて新企業家にゆきわたる仕組みが存在していた.これを下地として,紡績におけるジェニー紡績機(1764),水力紡績機(1769),ミュール紡績機(1779)の発明,織布における力織機(1786)の発明により,英国の綿糸・綿布の生産は爆発的に増加し世界市場を制覇する.
機械化に成功した英国製品は瞬く間に世界市場を席巻し,欧米諸国を経済的に圧迫していく.英国に遅れをとった欧米諸国は遅れを取り戻すべく,国家を挙げて工業化に取り組んでいった.
この結果,生じた大量の工業製品は欧米の需要のみでは支えきれず,諸国は競って世界市場争奪に乗り出していった.

英国の「産業革命」と日本の「勤勉革命」

工業化はイギリスを中心とするヨーロッパにおいてばかり達成されたわけではなかった.それは,広大な海と遥かユーラシア大陸を隔てた極東の日本においても達成された.日本はアジア諸国の中においてはいち早く工業化を達成した.なぜ,ヨーロッパと極東の地が工業化への離陸/take offをいち早く成し遂げることが出来たのかについては,しばしばマックス・ウェーバーや大塚久雄の論説を以って両者に「プロテスタント的倹約の精神」(日本の場合は「儒教的精神」)があったことが挙げられてきた.しかし,特に東アジアにおいては「儒教的精神」を持っている地域は日本に限ったことではないし,朝鮮半島などは日本以上に「儒教的精神」を持ち合わせていることは言わずもがなである.強く影響を受けた文明も異なり,距離的にも遠く隔たったイギリスと日本を結びつけるキーワードはただ一つ文明の中心地からみて辺境の地であったということである.工業化への離陸の準備はこれらの辺境地域が文明の圧倒的な物産に直面してその国産化を図った過程とも捉えることができるだろう.もちろん,その内容は距離にも増して異なっていた.イギリスを発祥の地として,世界に遍く伝播していく「産業革命」は豊富な資本を投下する資本集約的なものであったのに対して,日本は逆に十分な労働を集中的に活用する労働集約的なものであった.この日本の労働集約的な経済への移行はイギリスの「産業革命」に対して「勤勉革命」と呼ばれている.

コンドラチェフ循環

技術革新といえば,誰もが思い浮かべる理論家としてシュンペーターが挙げられる.彼は創造的破壊や馬車の喩えによって,技術革新の重要性を説いた.その彼が注目,発掘した人材がロシア人コンドラチェフである.コンドラチェフはイギリス,アメリカ,フランス,ドイツの物価,利子率などの動きを綿密に調査した結果,シュンペータによってコンドラチェフの長期波動と命名されることになる経済循環を発見する.第1波の上昇期は1785年から1814年までの25年間,下降期は1814年から1849年までの35年間であり,全循環は60年.第2波の上昇期は1849年から1873年までの24年間であり,下降期は1873年から1896年までの24年間,全循環48年.第3波の上昇期は1896年から1920年の24年間,下降期は1920年始まるとされた.コンドラチェフの論文の対象期間は1920年までである.この長期波動の理論は,当時のスターリン体制のもとで机上の空論とされ,なおかつ当時の国家理論とは相容れない理論として,反革命の烙印を押され,本人とともに葬り去られた.しかし,その後も,資本主義に在庫循環や設備投資循環を超えた長期経済波動が「事後的に」確かに存在することが改めて確認されている.とはいえ,長期波動の原因がどこにあるのかに関しては百家争鳴の状態である.有名なものには,技術の発明と発見,金鉱の発見による金の増産それに軍事費の支出に求めるものがあるが,技術革新がとくに重要とする説をシュンペーターは唱えている.もちろん,経済が生身の人間の活動から構成される以上,過去の循環傾向が今後も無条件に継続することは到底考えられない.この点が,この長期波動の理論が多くの人にとって魅力的でありつつも,ひとつのお話に留まっていた原因がある.ひとつのお話ではあるものの,90年代前半が新たなサイクルの開始点になっていることによって,再び関心を惹いている.米国において,一時期言われたニューエコノミー論を唱えた人々の心の奥底においても,この長期波動の理論がわづかとはいえ影響していたことは想像に難くない.
米国における長期景気循環 (出所:Alexander Mike)
期間TypeGDP成長率賃金上昇率インフレ率実質株価収益率
1787-1806インフレ成長期+6.1%+0.5%+2.3%--
1806-1814スタグフレーション-1.3%-3.4%+5.1%2.5%
1814-1836デフレ成長期+6.4%+3.7%-3.5%8.2%
1836-1843不況期2.1%+4.0%-2.6%2.6%
1843-1853インフレ成長期6.5%+0.5%+0.5%9.2%
1853-1864スタグフレーション-0.7%-1.0%+4.7%3.6%
1864-1881デフレ成長期+7.1%+1.5%-1.5%10.1%
1881-1896不況+3.0%+1.9%-1.3%3.6%
1896-1912インフレ成長期+4.6%+0.6%+1.6%8.0%
1912-1921スタグフレーション-0.3%+2.4%+6.8%-4.5%
1921-1929デフレ成長期5.7%+1.7%-0.4%25%
1929-1954不況+2.0%+3.0%+1.7%1.0%
1954-1973インフレ成長期+4.0%+2.3%+2.7%9.9%
1973-1982スタグフレーション+2.3%-1.0%+8.8%-2.9%
1982-presentデフレ成長期+3.5%-0%+3.3%15.0%

「goo」と「Google」が連携


検索サイト「goo」を運営する株式会社NTT-XとGoogleが日本語検索サービスで提携と発表。
「goo」はGoogleからWebデータベースを含む検索基本機能の提供を受ける。
一方で、Googleの検索キーワード連動型広告「アドワーズAdWords」をgooでも提供するという。
なお、表記のゆれなどを自動補正する機能などはgoo独自に行う。

そういえば、「Google、Overtureに買収?」というアイプリル・フールのネタが4月に流れたことを唐突に思い出す。
その後、OvertureはYahoo!に買収され、Googleの快進撃が非常に目立つ。

予想下回る新規受注


米国商務省の発表によると、8月の製造業出荷は7月から0.8%の減少。
電子計算機等の出荷は電子計算機が9.6%の減少となったのを始め、ストレージが15.4%の減少となり、唯一半導体だけが21.1%のプラスになっただけと冴えない。
また、製造業新規受注も、エコノミストの事前予想の0.2%減よりも低下し0.8%の減少。受注額は3278億2500万ドル。
電子計算機などICT機器は電子計算機が3.2%の増加とプラスを維持するなど全体として、7月の9.2%よりは低くなったものの3.2%の増加となった。

木曜日, 10月 02, 2003

富士通は人が鍵


「生産性の効果 IBMの場合」で触れたIBMの売上高の変化の要因分解について2002年までを計算してみる。


あくまで試算(*1)の域を出ないということを肝に銘じた上で、2001年に生産性は低下したが翌年には一気に上昇していることが分かる。一方で、設備ストックは99年から売上に寄与した動きをしていない。
同じものを富士通に関して計算してみる。
計算に使用したデータ期間は1987年から2002年まで。IBMのグラフと同じく、赤線は売上高の伸び。棒のなかで赤っぽいのは設備(ストック)要因、青いのは人的要因、白抜き(茶色)になっているのが全要素生産性。

富士通の場合は設備ストックがうまく活かされているようには思えない結果になっている。2001年と2002年の2ヵ年は有形固定資産の寄与が高まっているが逆に生産性上昇による効果が大きくマイナスになってしまっている。
また、図では分からないが、従業員数と有形固定資産とにかかる係数について、富士通とIBMとを比較してみて分かることは富士通のほうがIBMよりも人的要因の寄与が大きいということ。

もっとも、これはあくまでも試算。

(*1)コブ=ダグラス型生産関数を推計した上で計算。その時の設備ストックは有形固定資産から土地+土地改良費を除いたものを使用。
\c:\\web\FJ.xls,IBM.xls

京様式経営

CNET Japan 本社フォーラムでの、「ITの考え方がビジネスをリードする時代へ」「ITを導入するのではなく、ITの考え方を導入するということ」
というフレーズは流れを見事に表現していると感じた。

ただ、日本の大企業では
「日本の場合、企業間関係のオープン化の問題を解決しないまま、製品のオープン化に進もうとする問題を抱えている」という点を考えると、換骨堕胎のIT化になるのかもしれない。

「京様式経営」と分類される企業、京セラ、ローム、日本電産、村田製作所、堀場製作所、オムロン、日本電池などは、富士通、NEC、日立、東芝、三菱電機、松下電器産業、ソニーと比較して、10年間の変化を見ると、売上高の成長は3倍、売上高営業利益率で4倍、総資産利益率(ROA)で5倍から7倍とされます(『京様式経営』より)。
これは10年間の比較ということだが、本当にそんなに差があるのかと思えるほどの差。

企業の最初のS字カーブに乗っているだけかというと、そうでもなく「京様式経営」企業の歴史は結構古かったりする。

京セラが1959年、ローム(東洋電具製作所)が1954年、日本電産が1973年、村田製作所は1944年、オムロン(立石電機)が1930年、堀場製作所(堀場無線研)が1945年、日本電池が1895年(島津創業者2代目島津源蔵)。

そうすると、やはり「京様式経営」という分類がなり立つ?
首都東京に先駆けること3年、しかも行政抜きで、明治2(1869)年に64もの「番組小学校」を町衆の手で作ったような自律的風土があるように思える。
そういうものが、ひょっとすると土台になっているのかも。
非主流のなせるところと言っても良いかもしれない。
「名古屋」はどうなのだろうか?
「札幌式」というのも「オープン化」を利用しているように思えるが、「札幌
式」と言えるまでに成長するのか興味があるところ。

果たして、この「京様式経営」は「東京式経営」の範となることが出来るのか。
囲むことで利益を享受して成長してきた企業が壁を取り払うのは、バンジージャンプを飛ぶような勇気がいるだろう。

水曜日, 10月 01, 2003

足りないのは.....

日本企業にとって足りないのは「オプションバリュー」なのだという。

2-3ヵ月前に、似たようなことを耳にした。

現在は赤字。
将来キャッシュフローの流列を(妖しげな)割引率で現在価値に直してもダメ。
でも、プロの経営者の目で見ると将来性のある事業に違いない。
なのに、何で価値がプラスにならないのか?

曰く、かつてのJapan as No.1の時代には米は「オプションバリュー」を評価
するツールが一般化していなくて日本に負けた。
その頃は、日本は「勘」で行っていた。

それから、米国が猛ダッシュで日本の「勘」を「理論」に昇華させたとのこと。
ちょっと、この辺りは物語にし過ぎではないのかという気持ちはある。

ともかく、米国は猛ダッシュが効いた。
その結晶が「金融工学」の類で、そこには「リアルオプション」に代表されるような事業的小道具もちゃんと仕込まれていたと。

その後、日本が「米国式経営」を見習えとばかりに、「NPV」「EVA」等を導入する。「バランストスコアカード」などもそう。

ところが、肝心かなめの所を押えていないというのだ。
なぜ、米国が「リアルオプション」やら「バランストスコアカード」といった小道具を編み出したのか。
日本の「勘」を越えるためだったはず。
その「勘」を「実物オプション理論」や「システム・ダイナミクス」で克服しようとした。その簡易版として、「リアルオプション」やら「バランストスコアカード」があり、更に簡易版として「NPV」「EVA」があるわけ。

「勘」を大事にしていて、しかも「勘」が当る時代ならば、敢えて小道具を取り入れる必要はないはずということになる。
「メリケンさんは靴履いたまま家に上がるが、日本人はやっぱり素足で畳だねぇ」
と、トリビア的知識としておけば良い。

「勘」を捨ててしまって、しかも、小道具の末端の形式的な使い方をするから問題なのだと。

そういえば、米の医薬品メーカーでは、経営計画をネットワークで瞬時にシミュレーションして、その結果を見ながら役員が議論するという話をインテグラートの人が話していたし、海上自衛隊の方の話では米海軍は合同演習の最中にリアルタイムで行動計画を変更し必要物資、必要戦力を計算すると言う。

そういうことを考えると、上の話も単なる「お話」ではないのかなとも思う。

参考文献:伊佐田文彦・編著『日本発MBA・下巻』中央経済社


大企業製造業DI、2年9カ月ぶりプラスへ


日銀が1日発表した9月の企業短期経済観測調査(短観)で大企業製造業のDIがプラスに転じた。
米国景気の回復期待で輸出環境の好転による企業収益が改善したことや株価の上昇が効いた。
とはいえ、まだまだ気を緩めてはいけない。
この時点の短観には目下進行中の円高は考慮されていない。加えて、非製造業のDIは依然としてマイナスのまま。
先に挙げた在庫循環の動きからすると、景気は既に春には山場を迎えてしまっていると考えられる。つまり、先般の景気は実感の伴わない景気上昇を終わってしまったことになる。但し、過度に悲観的になることはない。
山低ければ谷低しということは景気についても当て嵌まる。

躊躇する生産


2003年8月の鉱工業生産指数が経済産業省から発表された。
8月の生産は、前月比▲0.5%の低下。生産は横ばい傾向だと総括し、依然として最終需要動向が不透明と指摘している。
確かに、その通りで、2002年1月を谷として輸出主導で回復に転じた景気は、内需に点火しないまま、新年度入りとともに調整局面入りしたとの観測を裏付けるような数値となっている。
上の在庫循環図でも、回復局面から積増局面、積上局面へと移行しているかに見える。
さてさて、このミニ景気、どうなることやら。

火曜日, 9月 30, 2003

アジア経済、2004年は6.1%成長

アジア開発銀行がアジア・太平洋地域の経済見通しを発表。アジア諸国は1997年-98年に財政赤字からアジア金融危機を誘発し、その危機からの脱却のために更なる財政拡大政策を採用した国は依然として構造的欠陥が残ると指摘。また、不透明なイラク情勢などが懸念されるものの、予測を上回る成長となった2002年に続いて堅調な成長を遂げると分析。
アジア太平洋経済は世界経済の中で唯一の明るい地域とまで言い切る。
2003年は5.3%、2004年は6.1%と予測。
  2000 2001 2002 2003 2004
東アジア 8.1 4.4 6.5 5.6 6.2
中国 8.0 7.3 8.0 7.3 7.6
香港 10.2 0.6 2.3 2.0 4.0
韓国 9.3 3.1 6.3 4.0 5.3
モンゴル 1.1 1.1 3.9 5.0 5.2
台湾 5.9 △2.2 3.5 3.7 3.9


GDP Growth (%)  2002  2003  2004 
ADO 2003 Update ADO 2003 Update
Southeast Asia 4.1 4.0 3.9 4.8 4.9
Cambodia 5.5 5.0 5.0 5.5 5.5
Indonesia 3.7 3.4 3.4 4.0 4.0
Lao PDR 5.9 6.0 5.5 6.5 6.0
Malaysia 4.1 4.3 4.1 5.1 4.9
Myanmar - - - - -
Philippines 4.4 4.0 4.0 4.5 4.5
Singapore 2.2 2.3 0.5 4.2 4.5
Thailand 5.3 5.0 6.0 5.5 6.0
Viet Nam 6.4 6.9 6.9 7.1 7.1

どんどん減る虎の子

個人金融資産、8・四半期連続減
 日本銀行が発表した資金循環速報によると、2003年6月末の個人金融資産の残高総額は前年同期比で1・6%減の1,385兆4,425億円。これで、2001年7~9月期以来8・四半期連続での減少が続いている。
株価下落で、保有している株式の評価額が下がったこと、景気低迷による賃金の低下傾向に歯止めが掛からないこと、更には医療費や年金負担の増加が要因と考えられている。
この要因も2001年7~9月期以来8・四半期連続で変わらない。
一体、いつになったら変わるのか。
あるいは、このまま個人の金融資産は減りつづけるというのが常態となってしまうのか。

税効果会計について

税効果会計というのは、会計上の収益・費用と税務上の益金・損金とが食い違うということを解消するために考えられた会計制度。
・法人税等を発生主義で認識
・税務会計と財務会計との相違を解消
・繰延税金資産、繰延税金負債の認識
例えば、不良債権に対する貸倒引当金の場合、実際に貸倒の危険性がある場合には貸倒引当金繰入額を全額費用として計上することが出来る。
しかし、税務上は損金算入限度額がある。また、貸倒が現実に生じた場合は損金算入が認められることで、その年度の法人税は少なくなる。一方で、その前年度は法人税を余計に払ったということになる。
そこで、2000年3月期決算から、証券取引法が適用される会社、つまり大会社に対して、そうしたズレを繰延税金資産や繰延税金負債として把握して計上しましょうということになった。適用が義務化された。
この税効果会計、有税引き当てをした債権が将来に無税適用されれば税金が還付されるが、将来の課税所得が低ければ、実現しない可能性もある。

生産性の効果 IBMの場合

IBMについて、1993年から2001年までのデータを見てみると、
売上原価=▲0.59×販売管理費+0.74×売上高
という関係があります。

つまり、販売管理費が一定であれば、売上原価は売上が増加するとその分だけ増加するということになります。また、"一般的に"、販売管理費を増加させることで原価率は低下するということも言えます。
ところが、

なので、
販売管理費の比率が高くなると、かえってマイナス要因となる。
そこで、販売管理費の原価率逓減に与える効果をプラスにするように生産性を上昇させることが必要になります。
そこで、売上高を要因分解して総合生産性の上昇の効果を見てみると96年から98年まではマイナスでしたが、99年には大きな寄与をしています。

上向きが明確になるのは04年前半?

計量経済モデルを利用して、4-6月期までのデータで日本のIT支出を予測した結果です。
参考までに、IDCの最新版の予測値および日経センターの経済予測の数値も挙げておきました。
  名目支出(前年同期比) 実質(前年同期比)
ハードウェア ソフトウェア サービス IT支出

GDP

2003 1Q 2.01 4.09 2.57 2.50 2.30
2Q 1.74 4.01 2.58 2.38 1.75
3Q 1.57 3.96 2.62 2.32 1.72
4Q 1.51 3.95 2.69 2.32 1.70
2004 1Q 1.59 3.95 2.78 2.40 1.68
2Q 1.79 3.96 2.86 2.52 1.67

IDC(vQ2_2003) 名目支出(前期比) 実質(前期比)
ハードウェア ソフトウェア サービス IT支出

GDP

2003 ▲4.1 3.2 0.4 ▲1.2 ---
2004 2.4 5.1 2.8 3.0 ---

日経センター(8.19) 実質GDP(前年同期比)
2003 1Q 2.3
2Q 2.1
3Q 1.8
4Q 1.7
2002 1Q 1.8
2Q 1.5

4-6月まではソフトウェア投資鈍化

■財務省が4日発表した4-6月期の法人企業統計によると、全産業の設備投資額は前年同期比6.4%増の8兆3119億円と、2001年7-9月期以来、7四半期ぶりに増加。
一方、ソフトウェア投資をみると、全産業ベースで2002年10-12月期に3割に近い伸びを示してから、伸び率が鈍化してきていて、4-6月期では1桁の伸びに留まっています。
※但し、供給側の「特サビ統計」の6月の数値を見ると減少から増加に転じています。

■10-12月期には上昇へ
財務省景気予測調査(8月)によると、先行きを全産業でみると、大企業は15年10~12月期に「上昇」超に転じる見通し、中堅企業、中小企業は「下降」超幅が縮小する見通し。
売上に関しては、製造業は下期0.7%増収となり通期で0.9%増収の見通し。非製造業は下期0.4%の減収、通期でも0.4%の減収。
経常損益は、製造業・非製造業ともに、通期で増益の見通し。

7月米IT出荷1.0%増

6月のIT出荷が前期比4.9%増だったのに対して低め。
うちコンピュータは同22.6%と大幅増。一方、ストレージは6月の5割増の反動で14.4%の減少。半導体は前月の微増から2桁のマイナスに。
但し、7月までの累計比ではIT機器は3.1%の増加。
一方、IT機器の新規受注はプラスを維持。コンピュータは4.9%増とプラスに転じています。受注残はフラットな動きで在庫も総じて減少。
工場在庫でみても、コンピュータは累積比で16.3%減となるなど引き続き在庫減少。
なお、製造業全体の7月の出荷は2.5%増、新規受注も1.6%増。

こうした米景気の状況に対して、前日に発表された連邦準備理事会(FRB)のベージュ・ブックも、
" Reports from the twelve Federal Reserve districts indicate that the economy continued to improve in July and August. Eleven districts say that activity levels increased during the summer. In some districts, improvement occurred in selected sectors, and in others, it was broad-based. Even in the Dallas district, where activity remains generally weak, contacts are said to be more optimistic."
全米12地区のうち11地区が、夏の間に活動の水準が上昇したとし、米景気がほぼ全域で回復基調にあるという見解を示しています。
また、同報告は楽観的で
"Manufacturers generally expect that their production volumes will increase somewhat during the remainder of 2003."
としています。

世界のカメラ付き携帯電話端末ユーザーは2003年末までに5,500万人を越える?

ARC Groupによると、2003年は世界で販売された携帯電話端末の15%がカメラ内蔵型か、指定カメラアクセサリ搭載となる見通し。
2005年までに、カメラ機能付き携帯電話機の出荷台数が世界ベースで1億3千万台となるとする。その後も、3Gの展開により上昇トレンドは5年間続くとしている。
出所:ARG Group 8/18 報告書

進む韓国モバイル

オンライン・オフライン上で製品及びコンテンツを購入し、携帯電話やPDAのような移動体端末で支払を行うモバイル・ペイメント。決済方法として、マイクロペイメント、SMS基盤決済、モバイルウォレットなどのソフトウェア方式とICチップなどを利用するハードウェア方式がある。日本でも流れはソフトからハードへ。韓国でも同様で、SKテレコム、KTF、LGテレコムの赤外線方式が注目を集めているとのこと。SBR&Cのレポートにようると、同市場は2005年までに、37兆ウォンから259兆ウォンにまで拡大するとしている。

[参考]
韓国経済情勢
モバイルコマースに見る携帯電話の可能性
モバイルコマースを目指すNTTドコモ - ケータイを多機能財布に

3Gユーザーが1,000万人突破

TCA、8月末現在の携帯・PHS加入者数速報発表。3Gユーザーが1,000万人突破。

■3度目の大台
電子情報技術産業協会(JEITA)「2003年7月 移動電話器国内出荷実績」によると、03年7月の移動電話国内出荷数量は525万4000台、前年比140.3%と9か月連続のプラス。
出荷台数が500万台を超えたのは、2000年9月、2001年3月に続き今回で3回目。

■2003年携帯端末微増
矢野経済研究所「携帯情報端末・PDA市場の現状と次世代予測」発表。
2002年度の携帯情報端末・PDA市場は台数ベースで前年比71.1%の97万6,000台、金額ベースでも前年比71.0%の254億9400万円と、台数・金額とも大幅な下落となった。
2003年度は各社集計から、台数ベースで92万9000台(前年比95.2%)、金額ベースでは250億7300万円(同98.3%)と台数・金額ベース双方の微減に留まるとする。

■ブロードバンド、日本は10位
国際電気通信連合(ITU)報告書「ブロードバンドの誕生」(プレスリリース)が発表された。
これによると、世界のブロードバンド人口は昨年末時点で約6300万人となり72%の大幅増となった。
人口100人当たりの利用者数では韓国が21.3人で1位、香港が14.9人で2位、3位はカナダで11.2人。
日本は普及途上だったこともあり、7.1人、10位。


タイガース効果

阪神タイガース優勝の心理効果」という調査が電通から発表されています。
調査期間が6月5日~6月16日、7月17日~7月28日ということなのですが、それでも、何と、自称「以前からのタイガースファン」が39.4%から45.9%と増加といいます。増加した「自称ファン」の正体や如何にと問いたくなります。
興味深いのは、「自分自身に何かが起こる」と予想する人が、阪神ファンの77.6%、阪神ファン以外でも40.1%というデータ。
この調査期間で財布の紐が実際に緩んだ率も4.9%上昇。
小泉首相の発言にもあったように、阪神優勝-->1年ラグの景気上昇は経験則。
その経験則を確信させる調査と言えるでしょう。

各種小道具

アジア経済シミュレーション
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地域産業連関表DB 日本の各都道府県等の産業連関表のダウンロードサイトへのリンク集

投入係数計算

内部収益率IRRの計算

リアルオプションの計算

米国IT支出 簡易版です。