木曜日, 7月 29, 2004

米国IT出荷統計

米国国内電子計算機出荷額[100万ドル]
Product description 1997 1998 1999 2000 2001 2002
 
Electronic computer manufacturing 50,249.9 56,891.5 64,696.1 62,856.9 48,541.3 41,818.4
Host computers (multiusers)... 12,240.0 15,010.2 21,089.4 22,877.4 16,469.3 14,206.8
Single user computers.... 36,987.5 41,001.9 42,765.3 38,981.3 31,492.2 26,749.2
Other computers, including array, analog, hybrid, or special computers not listed above 1,022.4 879.4 841.4 998.2 581.4 862.4 r/
Loaded computer processor boards and board
subassemblies 2/... 27,040.2 26,046.5 30,090.9 37,272.5 31,214.0 23,259.3
Computer storage devices and equipment.... 8,837.4 9,318.6 9,826.5 8,995.4 7,318.7 5,660.6 r/
Parts for computer storage devices and subassemblies. 2,382.3 2,309.7 2,253.5 1,691.9 1,699.1 1,559.8
Computer terminals.. 781.4 529.4 541.1 415.1 360.9 286.4 r/
Parts for computer terminals.. (D) (D) (D) (D) (D) (D)
Computer peripheral equipment, n.e.c. . 13,555.2 12,145.4 12,889.4 12,434.4 10,636.7 10,363.8
Parts for input/output equipment 2,627.9 2,629.5 2,387.5 2,766.3 2,359.9 2,216.5
Calculating and accounting machines ..... 1,621.9 1,060.5 1,195.6 1,210.4 1,190.8 828.3 r/
Parts for calculating, coin, or currency handling, and
accounting machines.. 127.5 126.5 (D) 105.7 94.8 60.6 r/
Mailing, letter-handling, and addressing machines.... 1,397.9 989.0 1,158.1 1,375.7 1,308.2 1,019.5 r/
Check handling, electric stapling and dictating machines,
typewriters, and all other office machines, n.e.c. .... 609.8 778.5 826.1 806.6 780.0 681.0
Parts for office machines, n.e.c. .. 439.4 359.5 463.2 239.5 323.8 238.7 r/
Magnetic and optical recording media... 5,739.1 4,736.3 3,906.8 3,205.5 2,227.6 2,325.0 r/
出所:米国商務省センサス局

今の時点で2002年とは遅すぎるということで分類を粗くした速報値が公表されています。
これを見ると、PCは買い替え需要サイクル只中という観測を裏付ける数値となっています。
なお、この数値は"国内出荷"であって"国内需要"ではありません。PCに限ってみると、2002年の国内出荷台数は1,964.7万台、うち輸出に回ったのが359.9万台、輸入されたのが2,306.9万台なので、国内需要は3,911.7万台。金額ベースにすると、国内出荷が41,818.4百万ドル、うち輸出が23,069.3百万ドル、輸入が15,768.5百ドル(国内生産が高額価格帯になっているのが確認出来ます)なので、国内市場は34,517.6百万ドルということになります。
また、2年後、あるいは5年後にマーケットがどうなるかということは、こうしたデータとストックのデータ(これは以前紹介)、産業構成比、人口構成比などを合わせて考えることでベースラインを求めることが出来ます。
この場合、経験則からすると、PC輸入はPC国内出荷とGDPに比例します。GDPは企業の設備資本ストックと雇用人口に比例します。
ベースラインですので、1年というスパンで考えた場合には上下に振れます。こうした上下の振れはHPやIBMが実施しているような調査を実施しないと掴むのは難しいところです。
電子計算機出荷額前年同期比(%)
月次 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
2003 24.0 1.1 ▲ 3.3 27.1 13.5 2.1 28.5 21.7 17.3 35.8 32.9 15.5
2004 24.8 27.7 22.4 24.7

ストレージ出荷額前年同期比(%)
月次 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
2003 ▲ 7.3 ▲ 27.9 ▲ 5.6 ▲ 4.5 ▲ 0.8 36.5 32.4 0.5 33.3 9.2 ▲ 7.9 67.5
2004 4.8 10.8 35.9 ▲ 1.4

水曜日, 7月 28, 2004

無形資産の重要性

『経営陣は、会計上の決算財務データをベースとして経営を行っている。このため、現在の業績を重要視することになり、必ずしも将来の成長につながるとは限らない戦略を立てている。現在的な視点でのみ考えればよいのであれば、経営状況を株価に反映させるためには、明白で確実な会計手法を取りさえすればよい。』

このアクセンチュアの"将来価値:7兆ドルの挑戦"と題するレポートでは大手製薬会社の例として、同社が市場から得た利益の多くがR&Dの成功に起因していること、それにも関わらず、R&Dは会計上は費用としか認識されていないために、誤った施策へと導いたことが紹介されています。

ちなみに、企業分析では、通常はR&Dは設備ストック(=有形固定資本)と同様に取扱われます(参照:企業売上げと非R&D知的資産の関係について)。


少し、衝撃的なことは、同レポートが
『将来価値の分析によると、伝統的だと認識してきた資産分野に関しては、非常にうまく管理されていることが分かった。しかし同じ分析で、当期利益の価値は、実は同社の市場価値のわずか2%にすぎないことが判明した(収益還元された当期営業価値は当期収益の10倍に相当するという経験則を使用した場合)。』
としている点。

この2%は『予算計画、企画、管理体制、差異分析、月次業績』によってもたらされたものとしています。
裏返せば、そうした会計的管理によっては同社の2%しか管理出来ていないということになります。

また『代表的な消費者向け製品を持つ米国のソフトウェア企業』の例では、、粗利益1ドルをそのまま利益とした場合、この1ドルが6ドルの将来価値を同社にもたらすのに対して、研究開発、マーケティング、営業権への投資といった無形資産への投資は将来価値を19~34ドルにまでも高めたということが指摘されています。

もっとも、こうした事実から、それではどこの企業でも同じような戦略乗数が得られて、同じような施策を縮小コピーなり拡大コピーするなどすれば良いかというとそうではありません。
それは、レポートには直接的には触れられていませんが『将来価値の分析は企業別に行うと最も効果が高い』というフレーズによって表現されています。

また、こうした将来価値分析が単なる財務諸表だけを利用した会計的分析では無理で、『従来の方法とは異なるダイナミックなアプローチを先駆的に実践している。企業システムへの全社レベルの投資の実施により、以前は得られなかったようなデータが近年、新たに大量に得られるようにな』ったことで適格な分析が出来るようになったとしています。


無形資産の非会計的戦略的評価に関しては
インテレクチュアルの評価手法

歴史的背景にまで遡っての解説はNEC総研の坂本氏による
無形資産のマネジメントとバランス・スコアカードの活用
が参考になります。

ここでも、アクセンチュアのレポートと同様に、無形資産を戦略的に考慮する上ではバランストスコア・カード的な指標間を因果の矢で結んで考える方法(SD)の重要性が指摘されています。

火曜日, 7月 27, 2004

サーバー市場の行く末(基本バージョンI)

インターネットの普及によるホスティング・サービスの需要増大はサーバー需要を盛り上げた。
サービス・プロバイダや企業はデータセンターの拡充に迫られた。
そこで、サーバの台数を増やすというスケール・アウトと、個々のサーバの性能を高めるというスケール・アップが解決策として浮上。
サーバの台数を増やすというスケール・アウトを解決策として採用した場合は、多数のサーバーを束ねて管理するという必要が生じてくるし、そもそも多数のサーバーをどこにどうやって置くのかというサーバーを設置する場所に関する問題が新たに生じてくる。
この場所的制約を取り除く手段として、1Uサーバという高密度サーバが登場することになる。
これによって、1ラック当たりの最大搭載台数は従来の2倍以上と場所的な問題は解決したかに見えた。ところが、1Uサーバーの場合、1Uというのは厚さ44.5mmという、筐体のサイズが19インチラックの1ユニットのことだけれども、基本的にはそれまでの2Uサーバーと機能的な差異はほとんどないと言っても良い。
つまりは、ぎゅっと厚みを抑えたという形になっている。というわけで、コンソールなどといった入出力デバイスを備えている。
そういった部分は特別な場合以外は必要とはされない。ということは、サーバーのその部分を更に削って、薄くするということが可能だということ。
そこで、ブレード・サーバの登場となる。ブレード・サーバは1Uサーバーを単に薄くしたというだけではなくて、幾つかの必要な機能を共有化することでサーバーの更なる高密度化を図っていた。
1Uサーバーは、単純化による設置スペースの節約を狙ったために、必然的にコモディティ化した。
一方で、ベンダーが力を入れるブレード・サーバーは、複数を管理するためのソフトウェアが必要なために、その点がプレミアになってコモディティ化を押しとどめている。
しかし、そのプレミア部分、つまり、プロプライエタリ(特定メーカーなどによるある独自仕様によって構成された部分)による囲い込みと管理モジュールの部分でIBMがHPが富士通が提供出来て、台湾ベンダーが提供しない機能に対する対価を、Dellは破壊しようとしている。