金曜日, 10月 17, 2003

PC出荷、上向き明確に







水曜日, 10月 15, 2003

IBMの事業構造




上の図は2000年第1四半期から2003年第2四半期までのIBMのセグメント毎のグロス・マージンのデータを利用して、事業構造の有効フロンティアを描いたもの。
△でプロットしてあるのは、2002年第4四半期から2003年第2四半期の3期間の実際の事業構造を示しています。
これを見ると、IBMの事業構造は、"ほぼ"有効フロンティア上に位置しているので、最適な構造を保っていると言うことが出来るでしょう。
ここで、最適な事業構造を表している効率フロンティアからの乖離具合を見ると以下のようになります。
point ハードウェア グローバルサービス ソフトウェア
03Ⅱ 4.1 2.0 ▲5.3
03Ⅰ 2.4 3.5 ▲5.7
04Ⅳ 7.8 ▲2.5 ▲5.3

2002年第4四半期まではグローバルサービスの比率を上げる必要がありましたが、2003年ではより最適な比率に近づいています。
また、ハードウェアの構成比を下げて、ソフトウェアの構成比を上げることで、同じリスクでグロスマージンを上げることが出来るということも言えるでしょう。

但し、ここでは売上の標準偏差をリスクとして計算しています。
これに対しては、期待収益率がマイナスになることと認識すべきではないのか、あるいは、平均期待収益率(5%)以下になることと認識するべきだという指摘があるということを付け加えておきます。
また、「リターン」をグロスマージンではなく、「NPVの平均値」または「IRR」に、「リスク」を最高支出額にすべきという考え方もあります。

火曜日, 10月 14, 2003

縮小する設備投資循環


循環論では何も言えないと言いつつも、再び循環論。
設備投資の循環を見るために、設備投資の伸び率と設備ストックの伸び率とをプロットしたのが下の各図。
まず、最初の図では1991年第1四半期から2002年第1四半期までの設備投資と設備ストックの伸び率の推移を示している。
これを見ると、まるで竜巻、いや蟻地獄だろうか、そういう形になっている。
つまりは、設備投資の伸び率の振幅に明確な変化を認めるということは出来ないけれども、設備ストックの伸びに関しては伸び率の平均水準が段々と下がってきている。
設備投資が変動している中で、資本ストックの伸びの水準が低下してきているということは、設備投資の中身が新規投資ではなくて更新投資の割合が増えているのではないのかということが伺える。










設備投資は七五三?




循環それ自身を重視して、それでお終いというのでは科学的な経済分析とは言えないという指摘は良く聞かれる。何も理論がなくて、ただ経験則をそのまま定式化するというのは科学的ではないだろう。
しかし、景気がぐるぐると循環しているということは紛れも無い事実。
例えば、米国の経済学者J.A.Kitchinは約40ヵ月の周期性のある景気循環の存在を明らかにしました。この40ヵ月という短い循環は企業の在庫投資によってもたらされると考えられている。
一方、企業の設備投資によって流れを決められる景気循環がある。この景気循環の周期は約10年とされ、フランスの経済学者ジュグラー(J.C.Juglar、1819-1905)によって実証されたためにジュグラーの波と呼ばれている。
設備投資の循環があるならば、建設投資の循環だってあってもおかしくはない。建設投資に関しては、約20年の周期性があることがアメリカの経済学者クズネッツ(S.S.Kuznets、1901-1985)によって明らかにされている。
最後に、技術革新や社会構造の変化に絡めて指摘されるのがコンドラチェフの波。このコンドラチェフの波はソ連の経済学者コンドラチェフ(N.D.Kondratieff、1892-1938)によって唱えられた約50年の周期を持つ景気循環。
こうした前提知識をもって、上の日本の民間設備投資(原数値)の前年同期比をプロットしたもの。
これを見ると、80年代後半から90年代初めの設備投資循環はほぼ8年。ジュグラーの波の約10年に近い。ところが、90年代後半には5年程度に、更には3年程度にまで周期が短くなってきている。