火曜日, 10月 14, 2003

設備投資は七五三?




循環それ自身を重視して、それでお終いというのでは科学的な経済分析とは言えないという指摘は良く聞かれる。何も理論がなくて、ただ経験則をそのまま定式化するというのは科学的ではないだろう。
しかし、景気がぐるぐると循環しているということは紛れも無い事実。
例えば、米国の経済学者J.A.Kitchinは約40ヵ月の周期性のある景気循環の存在を明らかにしました。この40ヵ月という短い循環は企業の在庫投資によってもたらされると考えられている。
一方、企業の設備投資によって流れを決められる景気循環がある。この景気循環の周期は約10年とされ、フランスの経済学者ジュグラー(J.C.Juglar、1819-1905)によって実証されたためにジュグラーの波と呼ばれている。
設備投資の循環があるならば、建設投資の循環だってあってもおかしくはない。建設投資に関しては、約20年の周期性があることがアメリカの経済学者クズネッツ(S.S.Kuznets、1901-1985)によって明らかにされている。
最後に、技術革新や社会構造の変化に絡めて指摘されるのがコンドラチェフの波。このコンドラチェフの波はソ連の経済学者コンドラチェフ(N.D.Kondratieff、1892-1938)によって唱えられた約50年の周期を持つ景気循環。
こうした前提知識をもって、上の日本の民間設備投資(原数値)の前年同期比をプロットしたもの。
これを見ると、80年代後半から90年代初めの設備投資循環はほぼ8年。ジュグラーの波の約10年に近い。ところが、90年代後半には5年程度に、更には3年程度にまで周期が短くなってきている。