金曜日, 12月 03, 2004

10月米コンピュータ出荷10.9%増

米国商務省の発表によると、コンピュータの出荷は54億2400万ドルで前期比10.9%増、1 - 10月の累計では2003年に比べて15.9%の増加、ストレージは15億1400万ドルで前期比では2.1%のマイナス、但し、1 - 10月の累計では2003年に比べて11.5%増。
民間向けの通信機器の出荷は63億4300万ドルと前期比0.7%減、こちらも1 - 10月の累計では2003年に比べて9.8%の増加。
国防向け通信機器の出荷は7億3400万ドルで前期比1.8%減、民間向けと同じく1 - 10月の累計では2003年に比べて23.9%の増加。
コンピュータおよび周辺機器全体の受注残は1,415億ドルに上り1992年以来最高水準を記録。

家電全体では89億5600万ドルで前期比0.4%と微増。
半導体は71億6200万ドルで前期比4.8%増と9月の8.6%減から増加に転じている。なお、1 - 10月の累計では2003年に比べて21.1%増。

なお、製造業全体の10月の出荷額は1,996億ドルで前月比0.1%増と微増。このうち民間向けは656億ドルで前期比1.9%増。
また、機械類の出荷は258億ドル(コンピュータ関連は400億ドル)で1992年以来の最高水準。

ソフトウェア・サービス支出と設備投資との関係

下図は「特サビ統計」から日本のソフト・サービスの動きと設備投資の動き(名目で考えています)を比べたものです。
似たような動きをしてはいますが、90年代後半は違った動きをしているように見えますし、2000年代に入ってもソフト・サービスの伸びと設備投資の動きには関係が無いように見えます。



そこで、少し工夫して、設備投資の伸び率を3四半期分だけ移動させてみます。3四半期ずらすということは、設備投資の動きが9ヵ月のタイムラグを伴ってソフトサービスに出てくるということになります。
9ヵ月というと少し長すぎはしないかという気がしないでもありませんが、とりあえず。



すると、どうでしょう。96年、97年の2年間を除いては設備投資の3四半期前の伸びとソフト・サービスの伸びはほぼ一致した動きになっています。
これほど綺麗な関係も珍しいと言いたくなるほど。

設備投資の3期ずらしの伸び率をみると、2004年第4四半期は5.8%のプラス、2005年第1四半期も6.2%のプラス(年率換算前期比では▲1.4%)なのでソフト・サービスの伸びもプラスになるとみるのが経験則。
しかし、2004年第3四半期の両者の伸び率は逆方向になっています。
ちなみに、過去において、設備投資の伸び率がプラスだったのに対してソフト・サービスの伸び率がマイナスとなったのは1992年の第2四半期、2000年の第3四半期のみ。1992年第2四半期は設備投資は0.1%、2000年の第3四半期は0.5%と微増の状況でソフト・サービスの伸び率がそれぞれ▲1.5%、▲0.4%。
現在の状況とは異なります。


ちなみに、米国では同じ図式にはなりません。
下の図は米国のソフトウェア投資と設備投資の伸びの関係をプロットしたもの。
90年代前半を除いて、日本とは異なってほぼ一致した動きになっていて、しかも2001年からの動きはぴたりと一致していると言っても言い過ぎではないようなものになっています。
これは、日本と米国におけるソフトウェア投資の設備投資に占める割合が異なるためだと考えられます。

日本ではソフト・サービス支出は設備投資の動きから遅れて動くのに対して、米国ではほぼ同時に動くということでまとめておきましょう。



それよりも興味深いのは、日本のグラフと米国のグラフで丸で囲った部分、つまり直近の動きです。
この直近の動きに限っては、日本と米国とで不気味なくらいに、設備投資が伸びているのに対してソフトウェア(+サービス)投資(支出)が減少するという同じ傾向になっています。

これは何を意味するのでしょうか。

木曜日, 12月 02, 2004

2005年日本ITソフト・サービス市場の見方

2005年の日本のITソフト・サービス市場はどの程度伸びるのかをみるためには、まず足下の動きを確かめなければなりません。
機械受注の動きから察して、民間設備投資の伸びは来年は3%程度(現状では4%というのは考えにくいでしょう)。
ITソフト・サービス市場は、その民間設備投資の伸びに準じるものの、IT投資の抑制からくるIT投資比率の低下を加味するとせいぜいIT投資全体が3%程度と考えられます。そのうち、ハードの部分は足下の統計で数量、価格ともに逓減傾向にあることからすると、3%前後のIT投資のうちITハードは3%以下でソフト・サービスは3%以上になるのではないかという推測が成り立ちます。

これは、民間設備投資の動きから見てのITということになります。
そこで、ソフト・サービスだけに着目して、現状で2005年に3%伸びるというのがもっともらしいかを確かめてみます。


経済産業省の「特サビ統計」によると、

ソフトウェア開発プログラム作成
2003年1-9月累計:約5兆1,959億円
2004年1-9月累計:約5兆4,040億円

この数値にはゲームソフトの売上が含まれますので、これを除きます。
ゲームソフトは
2003年1-9月累計:約3,076億円
2004年1-9月累計:約3,104億円

差し引き
2003年1-9月累計:約4兆8,883億円
2004年1-9月累計:約5兆 935億円

累計ベースの伸び率は4.2%増

10 - 12 月の売上高が前年同期比0%で推移したとすると、
2003年:約6兆1,161億円
2004年:約6兆3,213億円
となるので、伸び率は3.4%増。

ここで、2004年1-9月のゲームソフト除きの前年同期比を見てみます。
1月 5.39%
2月 6.03
3月 3.63
4月 10.51
5月 7.35
6月 7.31
7月 ▲7.49
8月 8.37
9月 2.36

2003年の10 - 12月の同じベースでの前年同期比を見ると、
10月 1.58%
11月 0.02
12月 5.51
と12月が高い伸びになっていますが、10 、 11月は低い伸びになっています。
そうすると、10 - 12 月で前年同期比0%の伸びという仮定は現状からすると的外れということにはならないでしょう。

従って、ソフトウェア開発の2004年の伸びが3.4%というのも概ね考えられ得る水準と言えるでしょう。

さらに、この数値をもとにして、ゲームソフトを除いたソフトウェア開発プログラム作成売上高のトレンド値を推計してみます。
すると、ゲームソフトを除いたソフトウェア開発プログラム作成売上高のトレンド値の伸びは2004年9月時点で2.36%となっています。

このことからすると、2005年のITソフト・サービスの伸びは2 - 3%の間より若干低めと考えるのが妥当ということになります。

この結果と民間設備投資からみた結果を合わせると、ユーザー側のIT投資そのものに対する効率化の要求は現状のレベルのままで、つまり、IT投資比率は現在の水準で推移し伸び率が3%前後で推移するか、あるいは、ユーザー側のIT投資そのものに対する効率化の要求が更に高まることでIT投資比率が更に低下、その結果としてITソフト・サービスの伸びも2%程度に留まるという可能性が考えられます。

水曜日, 12月 01, 2004

山低ければ谷浅し

今年7~9月期の実質GDP成長率は、前期比0.1%(年率0.3%)の低い伸びに留まっています。これは、改めて景気の回復ペースがスローダウンしていることを裏付けるものと言えます。
経験則からすると、IT投資はその他の生産設備の投資の動きと比較するとプラスにもマイナスにもブレが大きいということが言えます。
そうすると、この景気の減速は、企業の売上減、収益減を経由して、IT投資を大きく落ち込ませることになりそうです。
しかし、この景気のスローダウンは、台風の影響など特殊要因が含まれているとみられると考えられます。
一時的な要因がかなりの程度含まれていると判断されるわけですが、それでも景気はスローダウンしているとして次の3つの要因を挙げることができるでしょう。

(1)輸出の弱含み
(2)生産の頭打ち
(3)原油価格の上昇

(1)に関しては、米国では減税の効果が無くなるために消費が落ち込むであろうこと。中国では景気の過熱化を事前に防ぐためにソフトランディングが模索されるであろうこと。こうしたことから、こうした国々への輸出はペースが鈍化するとみるのが妥当でしょう。
但し、相対的にアジアのシェアが増大していることからマイナスにまで落ち込むことはないと思われます。
また、(2)に関してはシリコンサイクルが繰り返されるということが懸念されています。これに対しても、デジタル家電の価格低下とともに普及ペースの拡大も予想されるために調整は軽微なものに留まるでしょう。
(3)については、企業の売上高が増加しているために大きな影響はないとの見方が大勢を占めています。

こうしてみると、確かに景気の減速ということは避けられないでしょうが、「山低ければ谷浅し」の経験則の通りにスローダウンは大きなものとはならないと考えられます。

米第3四半期成長率3.9%

Real GDP grew at an annual rate of 3.9% in the third quarter of 2004,
according to today's preliminary estimate. This follows a growth rate of
3.3% in the previous quarter. Corporate profits decreased $27.6 billion in
the third quarter, following an $8.3 billion second-quarter increase.
(米国商務省)