火曜日, 3月 22, 2005

サービスサイエンスを分解してみると

サービスサイエンス周辺を少し整理。


[1]業務プロセスの定義を行う
デファクトはBPMIorgのBPMN(Business Process Modeling Notation)か
OMGのBPDM(Business Process Definition Metamodel)。

但し、いづれもBPEL(Business Process Execution Language)に展開可能。
ツールとしてはIBM/WBI Modelar

日本IBM,SOAに基づいた業務プロセスのモデリング・ツールを発表(日経BP)

見えてきたIBMのSOA戦略 BPELの設計ツールとネイティブ・エンジンを製品化,ESBで連携(日経BP)

この辺りは、UMLに基づいたモデル駆動開発 MDA(model driven architecture)に移行すると考えられています。

MDAに関しては「モデル駆動型アーキテクチャ」が参考になります。
コンセプトモデルをそのまま展開するというイメージ、バランストスコア・カードでシミュレーションするような感じといえば分かりやすいでしょうか。

広義では、ザックマン・フレームワーク(or EA)におけるComputing Independent
Model=CIMも含まれるということになります。

ビジネスプロセス定義メタモデル(BPDM)、ビジネスプロセス実行時インタフェー
ス(BPRI)、ビジネスルールのセマンティクス(BSBR)など。

ここで、スライウォツキーのプロフィットパターンなどを落とし込みます。
顧客を知ることが利益のはじまり―顧客ソリューション利益モデル
ファイアウォールで利益を守れ―製品ピラミッド利益モデル
同じ製品で異なるビジネスを―マルチコンポーネント利益モデル
臨界点を目指せ―スイッチボード利益モデル
粘り強さが生み出すスピード―時間利益モデル
大ヒットを創造するマネジメント―ブロックバスター利益モデル
一つの資産からさまざまな製品を―利益増殖モデル
利益追求に邁進する情熱―起業家利益モデル
すべてを知りつくすことの強み―スペシャリスト利益モデル
売り手が主導権を握る―インストール・ベース利益モデル

※エコシステムの各種モデルも広義のCIMに含まれます。

参考:IBMのソフトウェア事業部門のヨアヒム・フランク博士の論文

CIMに関しては詳細はMLが参考になります。

[2]サービスを設計しESB(Enterprise Service Bus)で繋ぐ
WebSphere Application Server V6やBEAのDiamond
ESBはSOAの受け皿、あるいはインフラ。

[3]サービスをビジネス・プロセスにマッピングして実行
この辺りはBPMと呼ばれる分野。
複数のSOAを繋げてBPMに組み立て直す。
BPEL(Business Process Execution Language)を使用
但し、BPMはSOAの普及でコモデティ化が2006年後半から始まるのではないかという観測があります。
製品ではIBMのWBI Monitorなど。

なお、BPMは業績管理とか管理会計という分野でBI(ビジネス・インテリジェンス)
に結びついていきます。ベンダーとしてはSASなど。
BIでもIBMやオラクルなどの「データ・マイニング・グループ(DMG)」がPMML(Predictive Model Markup Language)
というモデル言語をデファクトにしようとしています。


[4][1]-[4]を統合する作法がサービスサイエンス
オペレーションズ・リサーチでサービス・オペレーションを、管理科学でサービスマネジメントを、インダストリアル・エンジニアリングでサービス・エンジニアリングを、コンピュータサイエンスでSOA周りを、システムダイナミクス(SD)でUMLと戦略マップの連携を、ビジネスのコンセプト・モデルからサービスへの落とし込みをMDAなどで。
これらを全部一緒に考えるのがサービスサイエンス。

Welcome to Service Innovations References 2004
の41/44
あるいは
ビジネスにおけるSDモデルの実用化
が参考になります。


最後に、SUNのPapadopoulos氏曰く
「ユーティリティ・コンピューティングの時代は、ネットワーク・サービスの時
代」
と言っています。
おそらく、その通りで、そうすると、
ネットワーク化されたアプリケーション=SOAでいう「サービス」
ということになります。

ということで、ビジネスモデルとSOAとユーティリティとサービスサイエンスと
エコシステムが繋がります。
この繋がりはIBMが提唱している/初めて言及したというより、ゆるりと流れてい
た地下水が湧出したようなものだと考えられます。