金曜日, 2月 13, 2004

国際情勢メモ

[日米関係]
■アーミテージ発言の重要性
「日本に対する攻撃は米国に対する攻撃とみなす」という発言をアーミテージ国務副長官が訪日時を含めて3度発言している。
また、日米関係が日英関係のようになることを望むという趣旨の発言もしている。
こうした発言は政権入りする前の2000年11月時点で発表したアーミテージ・ナイ報告の趣旨に沿うもの。
アーミテージ・ナイ報告は日本に対する内政干渉的内容を含むものであることから、政権入りする前に発表されている。そして、政権入りしてからは政権の「公式見解」とはなってはいないが、本音ベースでの政策方針を提示したものと評価出来る。
アーミテージ発言は、アーミテージ報告を繰り返して確認したという意味を持つ。
日本の自衛隊派遣はブッシュ政権の政策方針であるアーミテージ報告に則ったもの。

[イラク情勢関係]
■フセイン逮捕前は1日平均40回を数えたテロが逮捕後には1日平均15回となっている。テロの回数は減ってきている。しかし、テロリストが劣勢を挽回しようとして米軍ではなく、軍・警察関係者とはいえイラク国民に矛先を向けていることは大きな懸念材料。

■英国では情報機関の情報が誇張されることなく政府に伝えられたということで決着が付いている。
米国ではこの点は焦点にはなっていない。CIAが情報分析を誤ったという点にのみ批判が集中している。
1月23日にイラク監視グループ団長のケイ博士(CIA特別顧問)が団長を辞任。28日に上院軍事委員会公聴会にて以下の証言を行った。
(a)イラク監視グループの作業継続の必要性
(b)軍用配備可能な生物・化学兵器の大量備蓄の存在の可能性は低い
(c)調査が進めば1998年以降、イラクが大量破壊兵器拡散の観点から極めて危険な国家であったことが判明するだろう
こうした中、ブッシュ大統領は2月8日、NBCの「Meet the Press」に出演。
3月17日の時点において、イラク政府が大量破壊兵器を保持し隠蔽していると判断したが現実には大量破壊兵器がイラク国内に存在していなかったということを認めた。その一方で、その時点の情報をもとにした判断としては何ら間違ってはいなかったとした。さらに、イラク政府が大量破壊兵器を所持、あるいは大量破壊兵器開発能力を有していたことは間違いなく、これらは国連の経済封鎖が行われる中で破棄あるいは他国に移転された可能性が高いとした。
イラク戦争直前にはイラクは威嚇の意味を込めて大量破壊兵器を保持しているという情報を流したが実際には、国際的制裁を回避するために大量破壊兵器は廃棄されていたと考えられる。
このように、米国では英国と異なり、CIAの情報が開戦時点で間違っていたか否かに焦点が当っている。そのために、ブッシュ大統領は2月6日に独立調査委員会の設置を発表。調査結果は大統領選挙後の2005年3月に報告書として提出される。

[北朝鮮問題]
■米国はイラクの問題で精一杯であり北朝鮮にまで手が回らないというのが実情。
昨年6月時点で、イラクの統治が問題なければ北朝鮮に本格的に対応した可能性が高かった。しかし、それ以降、米国が北朝鮮対応に本腰を入れる可能性は低下。
その一方で、米国にとって北朝鮮に妥協するという選択肢は有り得ない。
従って、多国間での協議を何回か繰り返し、そこでも北朝鮮が米国の要求を飲まない場合には国連安保理に付託するということになるだろう。安保理に提出し協議が行われ経済制裁が決定するまでに少なくとも半年は掛かる。多国間協議を行っている期間と安保理で協議が行われている期間は米国はイラク問題に専念出来る。

[一般教書演説]
1月20日一般教書演説。
続投を意識し長期的課題への取り組みの必要性を示す。
(a)テロとの戦いにおける成果の強調
(b)保守層の価値に対するコミットメント再確認(同性愛者の婚姻反対)
(c)失業、ヘルスケア、職業訓練プログラムの提案

[民主党予備選挙]
■1月初旬まではディーン前バーモント州知事とゲップハート下院議員が有力とされていた。
しかし、ケリー上院議員とエドワーズがアイオワで劣勢を挽回し状況が一変した。
これは主として以下の原因によるものと考えられる。
(a)ディーン前知事とゲップハート下院議員による激しい中傷合戦による支持者離れ
(b)ベトナム従軍経験を持つケリー上院議員が退役軍人を中心に支持を固めた
(c)サダム・フセイン拘束により反イラク戦争を主張し続けたディーンの勢いが削がれた
■3月9日のスーパーチューズデーまでには民主党の大統領候補が事実上決定する見通し。
但し、ケリー上院候補にはフォーブス財閥の連なるという良すぎる血統と、ケネディ以降民主党の大統領は南部出身であることからケリー候補では民主党の票を固めることが出来ないとの観測もある。

木曜日, 2月 12, 2004

経営戦略立案ツール

以下はA社における経営戦略策定のプロセスの概念図です。
ここで、シナリオプランニングというのは、自社の意思で変えたり、選択したり出来る将来像ではなくて、自社ではどうしようもない外部環境の将来像の筋書きを考えるということを意味します。
また、モンテカルロDCF法は既に多くのITベンダーにおける経営戦略立案に取り入れられていますが、事業価値に大きな影響を与えるバリュー・ドライバーを様々に何千通りも変化させ、不確実な状況のもとでの事業価値を分布として考え、確率的に把握しようというものです。
シナリオプランニングとDCF法の現実的拡張であるモンテカルロDCF法がどのような位置にあるのかを考える上で参考になると思います。
事業リスク 戦略ベース 計画ベース
高い デシジョン・ツリー シナリオプランニング
リアルオプション
モンテカルロDCF キャッシュフローと割引率を変化させる
シナリオDCF キャッシュフローと割引率を限定的に変化させる
低い スタティックDCF キャッシュフローだけ変化させる

月曜日, 2月 09, 2004

ITの限界


このように考えると、売上を拡大するような(=消費を拡大させるような)IT化が望ましいのではないかということが見えてきます。