金曜日, 12月 12, 2003

英国経済情勢

英国経済は個人消費が元気が良いの一語に尽きる。堅調な消費の背景には雇用環境が安定しているということが指摘できるだろう。
中央銀行にあたるイングランド銀行は金利引上げの効果を見極めるために、更なる引き上げは行わないことを決めた。消費が過熱気味ではないかとの懸念もあるものの、そこはイングランド銀行の舵取りの腕の見せ所といった感じか。

水曜日, 12月 10, 2003

血のめぐりが悪くて株価も低めに





日経平均、11月25日以来の1万円割れ」(日経新聞社web)
に関連して。

短期的には幾つかの要因がありますが、長期的には「お金のめぐりが悪くなっている」ということが挙げられます。
この点を簡単なグラフで示してみたのが上のもの。
まず、世の中にどの程度のマネーが蠢いているのかを示したのが上のグラフ。
夏頃までは上昇トレンドですがそれ以後は勢いに欠けています。

世の中に出回っているマネーの全部を日銀がコントロール出来るということはありません。ですから、マネーのめぐりの悪さを全て日銀のせいには出来ません。

そこで、日銀のコントロールが行き届く通貨発行高と日銀当座預金の合計の推移を見たものが下の図です(前年同期比)。
昨年から絞りに絞ったものを今年の初めにアクセルをふかして、6月にはアクセルをふかすのを渋っているのが分かります。

景気が悪くなると、あるいは悪くなる寸前で金融のアクセルをふかし、景気が過熱気味になり始めたところでブレーキを踏むというのが経済運営の王道。しかし、上のグラフを見るとマネーの動きは単に景気の動き、ここでは株価ですけど、その株価に追随して動いているだけのように感じてしまいます。
景気が悪くなったら引き締めてというパターンです。こうしてしまうと、単に景気に追随しているというよりも、景気をさらに悪い底へと突き落とすような動きをしていると言っても言い過ぎではないでしょう。

ここが分かれ目?

9日に内閣府から7-9月期の国内総生産(GDP)が発表された。前回発表の改定値なわけだが、季節調整済前期比で0.3%の増、年率換算では1.4%の成長となった。
プラスはプラスなわけで問題がなさそうではあるけれども、問題は確かにある。まず、前回の値から年率で0.8%ポイントも下方修正が行われている。これは今まで景気の牽引役を引き受けてきた民間の設備投資が大幅に鈍化したことによる。
下の寄与度の図をみてもらいたい。赤い色が設備投資の寄与度であり、青っぽいのが民間消費支出の寄与度を示している。
4-6月期と7-9月期との違いが設備投資の違いで説明がつくということが分かると思う。

替わって、困ったときの輸出頼みよろしく、7-9月期は輸出が景気の蒸気機関車役を担っている。
さてさて、今後、景気がどちらに向うのか?
設備投資は足元では好調な動きを示している。輸出も良い。そういうことからすると、7-9月期以降は問題ないようにも思える。その一方で、景気の斑模様観は払拭されてはいない。
この冬の経済情勢に注視していく必要がありそう。

火曜日, 12月 09, 2003

各国ICT/GDP比率

19971998199920002001
US5.035.215.315.475.3
Japan3.813.863.573.84
EU153.433.573.94.174.17
Belgium3.653.974.334.484.48
Denmark4.264.775.045.384.99
Germany3.283.623.954.254.22
Greece0.9311.091.221.2
Spain1.661.781.851.961.94
France4.114.094.334.654.75
Ireland2.012.382.472.432.25
Italy1.872.012.212.412.48
Luxembourg4.945.375.265.455.44
Netherlands4.144.835.25.315.19
Austria3.093.33.523.823.78
Portugal1.491.731.861.961.93
Finland3.543.894.344.524.38
Sweden5.256.246.486.926.77
United Kingdom4.894.825.155.565.62
Iceland: : : : :
Norway3.483.964.33.883.66

出所:欧州連合統計局、米商務省経済分析局など。

ちなみに、2003年の西ヨーロッパのICT市場の構成比は、コンピュータハードウェアが13%、ソフトウェアが10%、ITサービスが20%。エンドユーザー向けの通信機器が4%、キャリア向けの通信機器が7%、キャリアサービスが44%となっています。
IT市場だけでみると、2002年の伸び率は▲3.5%(速報)、2003年は▲0.7(見込み)となっています。
このうち、ソフトウェアは2002年ではプラスマイナス0と横ばいだったものが、2003年には2.1%のプラスになる見通し。ITサービスに関しては2002年0.2%(実績)、2003年0.8%(見込)と勢いに欠けています。但し、コンピュータハードウェアは2002年には▲9.5%(実績)、2003年にも▲4.1%(見込)。通信機器に関しても、エンドユーザー向けで、同じく▲6.5%、▲2.3%。キャリア向けで同様に▲9.4%、▲5.4%と大きなマイナスであることと比較すると底堅い動きと言えるでしょう。

まだまだ続く....

NRIの中期予測が発表された。
その中で、日本経済全体の効率化対策は進展しているとしながらも、今回の景気回復は循環的なものであって、構造改革の成果が出てきたというものではないとしている。
そして、今後2から3年は構造調整の期間であり、デフレからの脱却は2007年移行とみる。
あまりにも道程は長いものの、構造調整期間を乗り切れば、その後の経済成長は構造調整をしなかった場合よりも高まるとしている。
2004年から2008年の経済成長は、中国の人民元切り上げが10%以内に留まった場合には、世界貿易への効果は限定的であり、米国の成長率は3.3%、日本の成長率は1.2%。一方、人民元が大幅に切り上げられた場合には、米国への影響は軽微である一方、日本の成長率は0.8%にまで低下するとしている。
経済成長率はITには無関係と考える向きもありますが、ユビキタス関連需要など各種の普及・浸透スピードが経済のパイの拡大スピードに大きく依存しているということにも十分に留意が必要です。