木曜日, 5月 29, 2003

IT市場構造のオフショア化
[インドのソフトウェア輸出]
US$M200020012002
オンサイト2,1603,3313,430
オフショア1,3052,2943,846
製品輸出296314312
輸出合計3,7615,9407,588
[構成比%]200020012002
オンサイト57.456.145.2
オフショア34.738.650.7
製品輸出7.95.34.1
輸出合計100.0100.0100.0

出所:インド全国ソフトウエア・サービス業協会(NASSCOM)
★ 米国経済誌『Business Week 』の2003年2月3号は「Is Your Job Next? 」というタイトルの“オフショア・アウトソーシング”特集。表紙には“新たな段階のグローバル化は、上級の仕事のオフショア化である--チップ設計、エンジニアリング、基礎研究、そして財務分析さえも。米国はそれらの仕事を失っても繁栄できるのだろうか?”とあります。
IT産業に限らず、ホワイトカラーの仕事も、ロシア・東欧や、インド、フィリピン、中南米などにシフトしているとのこと。
A World of Outsourcing(図)
Globalization Goes White Collar (表)

その例として、「チップ設計者」の項に、TIやインテルがインド・中国を米国で設計したチップのプログラミングに利用し、新しい設計ツールを使えば全て任せられるようになるだろうとと書かれています。実務経験5年
以上の修士がインドでは月給千ドル、米国では7千ドルと7倍の開き。

そこで、インドについてだけ見てみると、インドのソフトウェア輸出の一つの特徴が見えてきます。その前に、まず、インドの場合、IT産業の中でもソフトウエア産業の占める比率が高いということを念頭に置いておく必要があります。既に、IT産業のソフトサービス化が進んでいるわけです(全体の6割を超えます)。また、IT輸出の9割はソフトウェアで占められています。さらに、サービス輸出も含めた輸出、つまり国際収支ベースで見ると、ソフトウェア輸出は全輸出額の6%近くを占めインド経済全体でも大きな役割を担っています。
そのソフトウェア輸出の内訳を見ると、ソフトウエア技術者が海外の取引先に出向いてサービスを提供するオンサイト輸出と呼ばれる区分の割合が高いことが特徴になっています。この割合は、最近では減少傾向にあって逆に技術者が海外の取引先に赴かないオフショア輸出の割合が増えてきています。この傾向は通信環境の整備に伴うもので、今後も続くと考えられています。
また、ソフト・サービス輸出を見ると更に特徴が浮かび上がってきます。輸出に関する限り、パッケージソフトウェアは4%台なのに対して、ソフトウエアのカスタマイズは35%を占めています。これは、インド企業が欧米企業のソフトウエア開発の下請け的業務を担っているということを示しています。