円ドル・レートは適切か?
円高が進んでいる。日本経済は明るさが見え始めたとは言ってもまだまだ頼りない。そうした中での円高。株価も企業によるリストラが一区切りついたことと、先行きへの期待から上昇基調。こうした株価の上昇を見て海外の投資家が「底値」に近い日本の株を買おうとしているのかもしれない。海外の投資家が日本の株を買うためには、まずは保有している通貨を円に替えるという必要があるだろう。
円に替えるということは円を買うということ。円に買いが集まると円が高くなる。
日本企業による輸出の動きも関係してくる。
こうした円高は、しかし、現在の日本企業にとっては決して望ましいことではない。
曰く、為替レートは長期的には購買力平価で、短期的には金利格差で方向付けられる。
これを確かめてみる。下の図は、赤い線が為替レートの動き、黒い線は日米の卸売物価指数の比、ピンクの線は消費者物価指数の比、淡青の線は輸出物価指数の比の推移を1989年1月を100としてプロットしたもの。
これを見る限りでは、為替レートは卸売物価指数の比と消費者物価指数の比の推移の周辺を動いている。
そして、2000年から現在に至るまで円安のほうに振れている。これは日本がデフレ状況にあるということを考えると当然と言えば当然。

次に、日米の長期国債(10年物)の金利の差と為替レートの推移を見てみる。
これを見ても、円高を支持するような方向にあるようになっている。

このようなことが日米間で為替が政策論議の議題となることの根拠になっているのであろう。