水曜日, 3月 23, 2005

擬似市場による市場調査

市場調査に関して参考になる動きがあります。
googleがAPIを公開したとき、使用法の一つとして市場調査が挙げられていました。
可能性はあるものの、実際にはどういう具合にして行うのだろうということを考えた人は少なかったと思います。

具体例を示してくれているのが、

芸能証券-芸能動向分析サイト

モノが芸能ですが、示唆するものが大きいでしょう。

アメリカには

アイオワ・エレクトリック・マーケッツ

のように、大統領選の先物市場で有名になった例もあります。
アイオワ・エレクトリック・マーケッツはアイオワ大学の非営利事業で、1988年以来、米国の選挙結果予想を売買する市場を参加者たちに提供しています。

例えば、同じようなことをソフトウェアや情報技術の分野で行うとどうなるのか。
考えるとワクワクしてくるものがあります。

株式市場が並の評論家、数値だけを並べて解説するだけの評論家よりも、数段優れた見通しを示してくれるのと同じような効果を期待出来るかもしれません。
「市場は常に個々のスペシャリストよりも優れた将来を読むことができる」という言葉の通りに。


情報技術(IT)に関して、そうした試みは

米Yahoo!と米O'Reilly、“株式”で技術トレンド予測するネットゲーム

でもなされています。

サイトはこちら

始まったばかりですが、こちらも先行事例として注目が必要です。

火曜日, 3月 22, 2005

ITサービスの新キーワード

視点従来
重視する経営哲学リエンジニアリング:虫瞰思考イノベーション:鳥瞰思考
利益に対する考え方後向き利益志向:コスト削減による利益確保前向き利益志向:売上増加による利益確保
ビジネス・プロセス企業内プロセス重視 囲う、分ける、隠す企業間プロセス重視 繋ぐ、繋げる、結び合う
期間/コスト/リスク長期間/コストとリスクの事後管理短期間/コストとリスクの事前把握
エコノミクス規模の経済、範囲の経済ネットワークの経済
システム利用方式インストール&カスタマイズアウトソーシング/ASP
アーキテクチャ固定的・閉鎖的可変的・開放的
インテグレーション独自規格/単一企業オープン規格/複数企業

SOA入門

SOAの入門記事のピックアップ。

SOA入門

Webサービスの将来を拡げるサービス指向アーキテクチャー

全体のイメージはざっとこうなるかと。
良く見ると、SOAを隠しても矢印が引けます。
逆にSOAという技術の部分を隠したとしても繋がるという点がビジネスでは大事なのかもしれません。


【ビジネス層】:アーキテクト

【ビジネスモデル層】:ビジネス・アーキテクト(BA)

【データ層】
XML エンタープライズ・データ・インテグレーション(EAI)⇒BPMと融合
↑ エンタープライズ・コンテンツ・マネジメント(ECM):Interwoven

【Webサービス標準】
[SOAP][WSDL][UDDI]
--->Webサービスを試す環境を作る

コンポジット・アプリ...Service Oriented Application by Smith Barney
2005年は「コンポジット・アプリケーション」に注目
↑アプリケーション・アーキテクト(AA)

オーケスレーション...SOAの組立て。BPEL4WS,Business Process Modeling
Notation:プロセス・モデラー(PM)

↑この辺りのブリッジをサービスコンポーネントプロバイダ(SCP)が提供

SOA(一対一) EDA(Event-Driven Architecture,多対多)
↑SOAは疎結合、EDAは非結合
↑注文発生→EDA→複数のSOA起動
↑EDAはメッセージを送るだけ、SOAはサービスをやり取りする

【ESB層】...通信ミドル。エンタープライズ・サービス・バス。SOAの入れ物。
《インテグレーション・アプリケーション》
[ビジネス・アクティビティ・モニタリング]
  ビジネス・プロセス・マネジメント(BPM):FileNET,Pegasystems,IONA Technologies,Vitria Technology+BEA Systems,TIBCO Software,Progress Software,webMethods,SeeBeyond Technology
SO-BAM(Service Oriented BAM):Cognos,Business Objects,Hyperion Solutions,Sybase,SAS
[パッケージ・統合プロセス]
[アプリケーション・アダプター]
《インテグレーション・ミドル》
[ビジネス・プロセス管理][ビジネス・ルールエンジン][イベント管理]
[交換][インテリジェントルーティング][データナビゲーション]
[テクニカル・アダプター]
《ベーシック・ミドルウェア》
[プラットフォーム・ミドルウェア]
[データ管理ミドル][コミュニケーションミドル]

サービスサイエンスを分解してみると

サービスサイエンス周辺を少し整理。


[1]業務プロセスの定義を行う
デファクトはBPMIorgのBPMN(Business Process Modeling Notation)か
OMGのBPDM(Business Process Definition Metamodel)。

但し、いづれもBPEL(Business Process Execution Language)に展開可能。
ツールとしてはIBM/WBI Modelar

日本IBM,SOAに基づいた業務プロセスのモデリング・ツールを発表(日経BP)

見えてきたIBMのSOA戦略 BPELの設計ツールとネイティブ・エンジンを製品化,ESBで連携(日経BP)

この辺りは、UMLに基づいたモデル駆動開発 MDA(model driven architecture)に移行すると考えられています。

MDAに関しては「モデル駆動型アーキテクチャ」が参考になります。
コンセプトモデルをそのまま展開するというイメージ、バランストスコア・カードでシミュレーションするような感じといえば分かりやすいでしょうか。

広義では、ザックマン・フレームワーク(or EA)におけるComputing Independent
Model=CIMも含まれるということになります。

ビジネスプロセス定義メタモデル(BPDM)、ビジネスプロセス実行時インタフェー
ス(BPRI)、ビジネスルールのセマンティクス(BSBR)など。

ここで、スライウォツキーのプロフィットパターンなどを落とし込みます。
顧客を知ることが利益のはじまり―顧客ソリューション利益モデル
ファイアウォールで利益を守れ―製品ピラミッド利益モデル
同じ製品で異なるビジネスを―マルチコンポーネント利益モデル
臨界点を目指せ―スイッチボード利益モデル
粘り強さが生み出すスピード―時間利益モデル
大ヒットを創造するマネジメント―ブロックバスター利益モデル
一つの資産からさまざまな製品を―利益増殖モデル
利益追求に邁進する情熱―起業家利益モデル
すべてを知りつくすことの強み―スペシャリスト利益モデル
売り手が主導権を握る―インストール・ベース利益モデル

※エコシステムの各種モデルも広義のCIMに含まれます。

参考:IBMのソフトウェア事業部門のヨアヒム・フランク博士の論文

CIMに関しては詳細はMLが参考になります。

[2]サービスを設計しESB(Enterprise Service Bus)で繋ぐ
WebSphere Application Server V6やBEAのDiamond
ESBはSOAの受け皿、あるいはインフラ。

[3]サービスをビジネス・プロセスにマッピングして実行
この辺りはBPMと呼ばれる分野。
複数のSOAを繋げてBPMに組み立て直す。
BPEL(Business Process Execution Language)を使用
但し、BPMはSOAの普及でコモデティ化が2006年後半から始まるのではないかという観測があります。
製品ではIBMのWBI Monitorなど。

なお、BPMは業績管理とか管理会計という分野でBI(ビジネス・インテリジェンス)
に結びついていきます。ベンダーとしてはSASなど。
BIでもIBMやオラクルなどの「データ・マイニング・グループ(DMG)」がPMML(Predictive Model Markup Language)
というモデル言語をデファクトにしようとしています。


[4][1]-[4]を統合する作法がサービスサイエンス
オペレーションズ・リサーチでサービス・オペレーションを、管理科学でサービスマネジメントを、インダストリアル・エンジニアリングでサービス・エンジニアリングを、コンピュータサイエンスでSOA周りを、システムダイナミクス(SD)でUMLと戦略マップの連携を、ビジネスのコンセプト・モデルからサービスへの落とし込みをMDAなどで。
これらを全部一緒に考えるのがサービスサイエンス。

Welcome to Service Innovations References 2004
の41/44
あるいは
ビジネスにおけるSDモデルの実用化
が参考になります。


最後に、SUNのPapadopoulos氏曰く
「ユーティリティ・コンピューティングの時代は、ネットワーク・サービスの時
代」
と言っています。
おそらく、その通りで、そうすると、
ネットワーク化されたアプリケーション=SOAでいう「サービス」
ということになります。

ということで、ビジネスモデルとSOAとユーティリティとサービスサイエンスと
エコシステムが繋がります。
この繋がりはIBMが提唱している/初めて言及したというより、ゆるりと流れてい
た地下水が湧出したようなものだと考えられます。