水曜日, 12月 01, 2004

山低ければ谷浅し

今年7~9月期の実質GDP成長率は、前期比0.1%(年率0.3%)の低い伸びに留まっています。これは、改めて景気の回復ペースがスローダウンしていることを裏付けるものと言えます。
経験則からすると、IT投資はその他の生産設備の投資の動きと比較するとプラスにもマイナスにもブレが大きいということが言えます。
そうすると、この景気の減速は、企業の売上減、収益減を経由して、IT投資を大きく落ち込ませることになりそうです。
しかし、この景気のスローダウンは、台風の影響など特殊要因が含まれているとみられると考えられます。
一時的な要因がかなりの程度含まれていると判断されるわけですが、それでも景気はスローダウンしているとして次の3つの要因を挙げることができるでしょう。

(1)輸出の弱含み
(2)生産の頭打ち
(3)原油価格の上昇

(1)に関しては、米国では減税の効果が無くなるために消費が落ち込むであろうこと。中国では景気の過熱化を事前に防ぐためにソフトランディングが模索されるであろうこと。こうしたことから、こうした国々への輸出はペースが鈍化するとみるのが妥当でしょう。
但し、相対的にアジアのシェアが増大していることからマイナスにまで落ち込むことはないと思われます。
また、(2)に関してはシリコンサイクルが繰り返されるということが懸念されています。これに対しても、デジタル家電の価格低下とともに普及ペースの拡大も予想されるために調整は軽微なものに留まるでしょう。
(3)については、企業の売上高が増加しているために大きな影響はないとの見方が大勢を占めています。

こうしてみると、確かに景気の減速ということは避けられないでしょうが、「山低ければ谷浅し」の経験則の通りにスローダウンは大きなものとはならないと考えられます。