水曜日, 10月 01, 2003

足りないのは.....

日本企業にとって足りないのは「オプションバリュー」なのだという。

2-3ヵ月前に、似たようなことを耳にした。

現在は赤字。
将来キャッシュフローの流列を(妖しげな)割引率で現在価値に直してもダメ。
でも、プロの経営者の目で見ると将来性のある事業に違いない。
なのに、何で価値がプラスにならないのか?

曰く、かつてのJapan as No.1の時代には米は「オプションバリュー」を評価
するツールが一般化していなくて日本に負けた。
その頃は、日本は「勘」で行っていた。

それから、米国が猛ダッシュで日本の「勘」を「理論」に昇華させたとのこと。
ちょっと、この辺りは物語にし過ぎではないのかという気持ちはある。

ともかく、米国は猛ダッシュが効いた。
その結晶が「金融工学」の類で、そこには「リアルオプション」に代表されるような事業的小道具もちゃんと仕込まれていたと。

その後、日本が「米国式経営」を見習えとばかりに、「NPV」「EVA」等を導入する。「バランストスコアカード」などもそう。

ところが、肝心かなめの所を押えていないというのだ。
なぜ、米国が「リアルオプション」やら「バランストスコアカード」といった小道具を編み出したのか。
日本の「勘」を越えるためだったはず。
その「勘」を「実物オプション理論」や「システム・ダイナミクス」で克服しようとした。その簡易版として、「リアルオプション」やら「バランストスコアカード」があり、更に簡易版として「NPV」「EVA」があるわけ。

「勘」を大事にしていて、しかも「勘」が当る時代ならば、敢えて小道具を取り入れる必要はないはずということになる。
「メリケンさんは靴履いたまま家に上がるが、日本人はやっぱり素足で畳だねぇ」
と、トリビア的知識としておけば良い。

「勘」を捨ててしまって、しかも、小道具の末端の形式的な使い方をするから問題なのだと。

そういえば、米の医薬品メーカーでは、経営計画をネットワークで瞬時にシミュレーションして、その結果を見ながら役員が議論するという話をインテグラートの人が話していたし、海上自衛隊の方の話では米海軍は合同演習の最中にリアルタイムで行動計画を変更し必要物資、必要戦力を計算すると言う。

そういうことを考えると、上の話も単なる「お話」ではないのかなとも思う。

参考文献:伊佐田文彦・編著『日本発MBA・下巻』中央経済社