火曜日, 5月 17, 2005

気になる左回り 

 地球は自転している。最近では地球が回っているということを理解していない子供達もいるとか。もっとも、笑うことは出来ない。
何故というと、地球が回っているのであって、太陽や月や星が地球の周りを回っているのではないという証拠を見せてと言われると即座に答えられなかったから。
地球が回っているという証拠というのは結構難しい。歴史的にみても、地球が確かに回っているという証拠が示された例としてはフーコーの振り子の実験(1851年)だとか同じくフランスのコリオリによるコリオリの力の発見が知られている。
コリオリの力というとお風呂の話で記憶している人が多いのではないだろうか。私の、その一人。お風呂の栓を抜くと水が反時計周りに渦巻く。これはコリオリの力によるもので、地球が回っている証拠なのだと。そう、教わった記憶がある。
実は、お風呂の栓を抜いた時の水の渦巻きは、地球の自転というよりも、お風呂の形に大きく影響されるのだという。自宅の風呂場で何回か試してみると、反時計回りで水が抜けていき、時計回りで抜けていくということは無かったから、地球の自転の影響が我が家のちっぽけな風呂場にも影響を及ぼしているのだと、小さな感動を覚えたくなる。
計算によると、東京は北緯30度だが、おおまかに北緯30度前後では1メートルの移動する間に100分1ミリ程度の力を受けることになる。
何キロも移動するなら100分1ミリというのも積み重ねでかなりのものになる。残念ながら、我が家の風呂は両手を広げれば大きさを表現出来る程度。我が家の風呂の水の流れに地球の自転の証拠を見たいというのは、もっと大きな風呂に入りたいという潜在的な願望の表れなのかもしれない。

それは兎も角。
地球は左回りにグルリと回っている。左回り、つまり、反時計回りにグルリグルリと回る回転盤の中心から外側に向けてボールを投げると、ボールは向って右にずれる。
ちょっと複雑。
遊園地のコーヒーカップを想像すると良いかもしれない。相手に向ってお手玉でも、紙でも、ケータイでも、投げてみる。手渡ししてはいけない。
すると、右にずれる。
進む方向に向って左から右側へと流される。これは北半球での話であって、南半球では逆になる。
更に複雑。
兎に角、地球が反時計回り、つまり左回りでグルリと回っているので、進む方向に向って左から右にズレる。
だから、中心の気圧の低い場所に向って風が吹き込む台風の場合は、内側に向って左から右にズレるので、左回り=反時計回りになる。
これは台風の場合。

台風以外を考える場合も同じで、北半球では右に右にとずれていく。
ちなみに、私の従兄弟は近眼のせいもあってか、車を運転する時には右に右にと寄っていく。放っておくとセンターラインを超えてしまって危険極まりない。住んでいる場所が北海道の、しかも、都市部からはかなり外れた場所なので対向車が滅多にはいないというのが何よりの救い。
これは、コリオリの力とは全く関係ないはずだが、本人に言わせると、コリオリの力が働いているに違いないという。本人曰く、日本と反対側の南半球のブラジルに行けば、きっと、左へ左へと寄っていくはずだと。それでは危険性が同じなので、南半球でも、せめて日本と同じ右側通行のオーストラリアとかニュージーランドにして貰いたいもの。

さて、太陽が最も良く当って暑いのは赤道。赤道で温められた空気は、冷たい場所へと流れていく。冷たい場所というと、赤道よりも緯度の高い場所ということになる。
北半球だと、赤道から北極へと向って暖かい空気が移動する。風が南から北に流れる。
ここでも、地球の自転によるコリオリの力が働いて、進行方向に向って右へ右へとズレていく。
赤道から北へ向って吹く風が右へ右へとズレていく。進行方向に向って右へ右へとズレるということは東へと向って吹く風ということになる。
これが、偏東風あるいは北東貿易風と呼ばれるもの。赤道で温められた空気が北上して、再び赤道付近へと北東から戻ってくる循環をハドレー循環という。
赤道からの暖かい空気は北極までは届かない。北極からの冷たい空気が南に下がってくるためで、暖かい空気と冷たい空気は北緯30度よりも緯度の高い、より北の寒帯前線帯と呼ばれる場所から亜熱帯高圧帯と呼ばれる場所の間の地点で出会う。
というわけで、北緯30度よりも北での風の動きというのは、いろいろと大変なことになる。

コリオリの力は地球がグルリグルリと回っている証拠とは言っても、そのコリオリの力を目にするのは、台風の反時計回り以外には簡単ではない。
だから、風呂場の水の流れで感動していてはならないわけだが、どうして我が家の風呂は台風と同じく反時計回りに回るのだろうか。偶然なのだろうが、不思議なもの。

人間の胎内では繊毛が羊水を左向きに流しているという。この左向きの流れが、体の左側のカルシウム濃度を上昇させることで、人間の臓器の位置が決定されるのだという仕組みを東京大の廣川信隆教授のグループが解明した。
たんぱく質とビタミンの仲間であるレチノイン酸の一種であるソニック・ヘッジホッグを袋詰したような物質が分泌され、左回りの流れにのって、胎児の左側の細胞にくっ付くことで、カルシウム濃度が上がるのだとか。それによって心臓が左と決定されるというのだから興味深い。

ところで、この胎内の左回りとコリオリの力は関係はないことは、風呂の水からも想像出来るが、何か気付いていない神秘的なものを感じてしまう。

<<一言主>>
○「手亡豆」は「てぼまめ」と読むようです。 で、手亡豆は「いんげん」のこと。

○札幌の語源は、アイヌ語で乾いた広い場所を意味する「サッ・ポロ」だとする説と、同じくアイヌ語で大きな湿地のある場所という意味の「サリ・ポロ・ペッ」だとする説がある。

○札幌市には、中央区、北区、東区、白石区、厚別区、豊平区、清田区、南区、西区、手稲区の10行政区がある。

○札幌は1972(昭和47)年に政令指定都市へ移行。

○旭川の語源は旭川を流れる忠別川の語源であるアイヌ語で日の川を意味する「チュプ・ペッ」を旭川と意訳したものという説が有力。

○後に北海道庁初代長官となる岩村通俊は、1885(明治18)年に上川に東京、西京(京都)と並ぶ北京の設置を政府に具申した。

○2代目北海道庁長官永山武四郎は旭川の神楽岡を予定地として北京設置を具申。根強い反対に合って頓挫するも、上川離宮計画として再浮上。1889(明治22)年に閣議決定。ところが、札幌、小樽の反対と1894年の日清戦争、1904年の日露戦争勃発によって計画は白紙となった。

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