水曜日, 4月 13, 2005

境目の怖さ 

 生物であるためには、
[1]外界と膜で区切られていること(自己組織能力)
[2]代謝を行うこと
[3]生殖を行うこと(生殖能力)
という3つの条件を満たさなければならない。ウィルスというのは、生殖能力を持たないという点で非常に微妙な存在。
ウィルスはDNAあるいはRNAと増殖に必要な酵素タンパク質は持っているものの、エネルギーを使って自分を管理することは出来ない、つまり代謝系がない。
という訳で、つまりは、ウィルスは自分単独では生きることが出来ず、誰か他の宿主に寄生(感染)することで初めて自分自身が生きることが出来る。
その意味で、ウィルスは生物と言えるために必要な条件を満たしていない。生物と非生物との間の境目に位置している。
加えて、生物は結晶化を制御しながら自分の構造を保っている。これに対して、ウィルスは、1935年にスタンレーがタバコモザイクウイルスの結晶化に成功したように結晶化しても感染力を保っている。
ウィルスを生物の側に位置付けようとすると幾つもの例外が出てきてしまう。
宿主あってのウィルスであるから、普通はウィルスは宿主を死に追いやるということはしない。宿主が死んでしまうということは、ウィルス自身も死んでしまうということを意味するから当然。
このウィルス、約3600種類あまりが熱帯雨林の中で宿主と共生しているという。
共生している宿主を自然宿主という。ウィルスと自然宿主は共生関係にあるのでウィルスは自然宿主を死に至らしめるということはない。
問題はウィルスが自然宿主以外の宿主に出会ってしまった場合。
当のウィルスにとって一番生活しやすい場所、心地よい場所というのが、本来の宿主の体内。もちろん、自然宿主のほうが心地よく考えているかどうかは別。それでも、自然宿主にとっては、ウィルスはいわば無害。
ところが、何がしかの原因でウィルスが自分の自然宿主以外の生物に感染してしまった場合、その場所はウィルスにとっては望ましくない場所ということになる。場合によっては、ウィルス自身の生存が脅かされるかもしれない。周り中敵だらけ、四面楚歌状態となる。
これは、感染してしまった生物にとっても同じこと。
そして、悲劇が起こる。
ウィルスが宿主を死に追いやる結果を生む。
生物が昔からの自分の生活圏内で過ごしている限りは致死性のウィルスに感染する可能性は低い。生活圏が狭い生物はそれで良い。
しかし、人類の場合はあまりにも生活圏が広がってしまっているために、ウィルスとそのウィルスの自然宿主の生活圏と重なってしまう確率がどうしても高くなる。

ウイルスが人間に感染して、皮膚や内臓に出血を生じさせる出血性ウイルスが近年増加しているのは、人間が熱帯林の奥深くまで入り込んだことに関係があると考えられている。
出血性ウイルスには、ラッサ熱で知られるアレナウイルス(arenavirus)、クリミアコンゴ出血熱・リフトバレー熱・腎症候性出血熱を引き起こすブンヤウイルス(bunyavirus)、黄熱病やデング出血熱を引き起こすフラビウイルス(flavivirus)、そして、 エボラ出血熱やアフリカはアンゴラの首都ルアンダから北東約300キロの町ウイジェで2004年10月頃に発生し200人の感染者を出すという猛威を振るっているマールブルグ出血熱を引き起こすフィロウイルス(filovirus)。

マールブルグ出血熱は、1967年にポリオ・ワクチンの研究用にアフリカのサルの腎臓を培養していたアフリカのドイツのマールブルグ研究所のスタッフに7人の犠牲者を出したのが始まり。1998年12月にもコンゴで50人の犠牲者が出ている。

潜伏期間は2日から21日で、致死率はウイルス性出血熱で一番高く25パーセントから90パーセントという。

コンゴでの発生は短い期間で収束しただけに、今回のアンゴラの感染が長い期間に及んでいることの深刻さが分かる。

<<一言主>>
○アインシュタインはプリンストンでの晩年の20年を宇宙の統一理論(Unification)の探求に費やした。

○「ひも理論」のキーワードは11次元とすぐ隣にある平行宇宙。

○「ひも理論」は宇宙は「ひも」が奏でる共鳴によって成り立っているとする。

○宇宙の現象を統一的に記述する方程式をマスター方程式という。

○1665年のニュートンによる重力という一つの力による宇宙の説明が科学史上初めての統一理論とされる。

○人類が月に立つ際もニュートン力学以上のものを必要としなかった。

○ニュートンの法則は重力とは何かに関しては何も語らない。

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