金曜日, 12月 17, 2004

意外にヤワではないのかも 

昨日の風は強かった。お蔭で、自転車が見事に引っくり返っていた。
その風の影響か今日は寒さが戻ってきている。手袋をしなければ指先が悴(かじか)むというフレーズがテレビでは何度も繰り返されていた。しかし、それ程でもない。
これで本格的な冬に入るのだろうか。
今年は異常気象だったなという感想はここ何年か繰り返しているように思う。それでも、やはり今年は例年にない異常気象の年だったのではないのかという感想を抱いてしまう。国連環境計画(United Nations Environment Programme:UNEP)が15日に発表した今年1月から10月の世界の異常気象による災害被害額は約900億ドル。日本円に換算すると、約9兆4000億。話題となった松井の100億円の940倍。それではピンとはこないか。
この報告によると、過去10年の平均の災害被害額が約700億ドル、約7兆3000億円。それを上回るということになる。
当然、支払われた保険金額も約350億ドルと昨年の約160億ドルから倍増。かつ、過去最高金額。
振り返って見て日本でも、6月27日に佐賀市で発生した竜巻は何故、日本で竜巻がという点で非常に驚いたし、梅雨前線がおお暴れした7月12日から13日に掛けての新潟県の長岡地域、三条地域を中心とする新潟・福島集中豪雨、同じく7月18日から福井県北部の嶺北地方を襲った福井県豪雨など異常気象が相次いだ。東京では観測史上初となる40日連続の真夏日を記録してもいる。
異常気象というのは、気象庁の定義によると、「一般には過去に経験した気候状態から大きく外れた気象を意味し、台風や低気圧に伴う大雨や強風などの数日程度の激しい現象から、干ばつや日照不足など数ヵ月程度の現象が含まれる。また、それぞれの地点で過去30年間に観測されなかったような値を観測した場合」。
過去に経験した気候状態というのが最近の例年の状況からすると、そのものが異常になってしまっているのではないのかということを考えると、近年の状況は異常気象の従来の定義ですらも変更を余儀なくされるほどの異常気象ということになってしまうだろう。
何やら頭がコンガラガッテきたが、この異常気象の原因はひょっとすると二酸化炭素の増加なのか。と回らない頭が少しは回る。
東京大学気候システム研究センター、国立環境研究所、海洋研究開発機構地球環境フロンティア研究センターの合同研究チームが日本の誇る世界最大規模のスーパーコンピューターである地球シミュレータを使って計算した2100年まで結果でも、日本で真夏日の日数、豪雨の頻度とも増加するとなっている。
この計算は、経済重視の国際化が進む場合を想定した2100年の二酸化炭素濃度が720ppmとなるケース(A1B)、いやいや環境が大事なんだよというムードが世界に広まって2100年の二酸化炭素濃度が550ppmに留まるという2つのケースについて行われた。前者の悲観的なケースでも日本の夏の平均気温が4.2℃上昇、楽観的な場合でも3.0℃上昇するとしている。
日本以外の計算でも、英国のHadley Centre for Climate Prediction and ResearchのPeter
Stott氏らの研究グループが1920年から現在までのヨーロッパ全体の温度傾向を予測するシミュレーション・モデルで、人間の排出した温暖化ガスが原因で気温が平均0.5℃上昇したこと、そして2003年ニヨーロッパを襲った熱波の原因は人間の排出した温暖化ガスの可能性が高いというようなことを発表している。
ますます、近年の異常気象は人間の排出した温暖化ガスではないかと疑いたくなる。
大地の女神ガイアが人間の活動によって蝕まれつつあるのだろうか。
実際はどうなのかと考えるとそう簡単に整理出来る問題ではない。
例えば、日本の異常気象の原因としては、長らくフィリピン付近の海水温の上昇が強力な太平洋高気圧を生むことだと考えられてきた。フィリピン付近の海水温の上昇は人間の輩出する温暖化ガスのせいだろうと、これなら納得がいく。
でも、今年に限っていうと、フィリピン付近の上昇気流が活発ではなかったのだという。このために、フィリピン付近の海水温の上昇が日本の異常気象の原因ではなくて、偏西風が東地中海の気圧の変化によって蛇行したことが原因なのではないかと考えられ始めている。
それではその東地中海の気圧の変化の原因はと考えていくと頭がややこしくなる。
地球は意外と人間が考えているほどヤワではないのかもしれない。

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