火曜日, 12月 14, 2004

祇園とキュウリ 

京都の祇園祭(7月)の期間中は京都の人はキュウリを食べないと聞いた。
これは、八坂神社の神紋がキュウリに似ていることに由来するという。この習慣は古くからあるものの、京都全体で行われていたものではなくて、八坂神社と須賀神社の周辺で守られていたとのこと。
これらの神社はキュウリの上に降臨したという伝説を持つ須佐之男命を祀っていることもキュウリを食べないことと関係しているのだろう。博多の祇園祭りでも、祭神の櫛田神社の神紋がキュウリの断面に似ていることから祭りの期間中はキュウリを食べないという。こうした習慣は須佐之男命あるいは京都の八坂神社と関係のある全国各地の神社のある地域で見らるという。
その神紋、木瓜紋という。
織田信長の織田家の家紋と言えば分かりが良い。
ちなみに、私の家の家紋も木瓜紋で祖父は越前の出身。それはともかく、織田家は尾張に出てくる前は越前の越前国丹生郡織田荘の織田剣神社の神職とされている。そして、この剣神社は八坂神社(祇園社)と同じく須佐之男命を祀っている。根は同じということになる。
キュウリの切り口に似ている、あるいはキュウリの切り口を模したともされる木瓜(もこう)紋。名前が気になる。木瓜(もこう)というのはボケのことで、ボケはバラ科。一方のキュウリはウリ科。
植物分類学で言うならば、

ボケ(木瓜)は、
界: 植物界 Plantae
門: モクレン門 Magnoliophyta
綱: モクレン綱 Magnoliopsida
亜綱: バラ亜綱 Rosidae
目: バラ目 Rosales
科: バラ科 Rosaceae

キュウリは、
界: 植物界 Plantae
門: モクレン門 Magnoliophyta
綱: モクレン綱 Magnoliopsida
目: ウリ目 Cucurbitales
科: ウリ科 Cucurbitaceae

と異なる。
これには種明かしがある。木瓜紋の木瓜はモコウという音の当て字。そのモコウというのは、神社建築で、鴨居の上だとか敷居の下などの側面に取り付けた、柱と柱の間をつなぐ横材である長押(なげし)のうち、鴨居の上の部分である上長押(うわなげし)に添って、御簾をかけるときに横に張る幕、つまり帽額(もこう)のこと。
その帽額(もこう)に使われた紋が胡瓜(キュウリ)を輪切りにした形の木瓜紋。帽額(もこう)に使われたのでモコウ紋。音をとって木瓜紋となるわけだ。

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