火曜日, 6月 22, 2004

「it」 

遅まきながら、NECの「it」を見ました。

小道具の紹介のコーナーがNECの目指そうとしているモノの紹介になっています。
その分、本編にNの文字がなくさっぱりとした印象を持ちました。
指紋認証、ユビキタス、.....そのままを全面に出してパワーポイント的に説明したほうがダイレクトなのでしょうが、「it」のような表現の仕方も良いのかなと。
「it」がバイオ・プログラムである点や熱消費が激しく高速で移動するというところは、現在のIT技術に対するメッセージでしょうか?
それにしては、「it」の作成者達が"地球と同化してしまうほどの地球に優しい技術"を駆使していたことになっています。地球に優しいといいながら遺伝子を操作するのは危険だということと、現在のITの非人間性を合わせて批判的に捉え、それでもITが「it」を越えるんだということを出そうとしているのかも。
「it」よりもITが"大きい"ですし、「it」はユリの顔を持ちながら個性がない。

トップページがクリックする場所に戸惑うこと以外は面白い試みだと思います。
お金掛かっているのでしょうね。
電通の杉山亘太郎氏のプロデュースだとか。

映画でも、何気ない細部に古典的な名場面のコピーを使うということがしばしばありますね。
その辺りはアーリーマジョリティに属する人は分からない。僕なんか分からなかったりすることが多い訳です。
でも、オピニオンリーダーなんていう層に属する人はニヤリとする。
この層がニヤリとするためには顕在化していたのでは駄目なのだと思うのです。
ちょっと見えないけれども、良く見れば分かる。そうすると、先にニヤリとする。
マジョリティは何でオピニオンリーダーがニヤリとしているのか非常に気になる。
そこで"能動的に"探す/動く。もう、ここでNECの土俵に引きずり込まれているわけです。「キャー、かっこいい」で終わっていない。
小雪で釣って後で理念を刷り込む。
「ラスト・サムライ」見た人が新渡戸稲造の「武士道」に手を出すようなものです。最初に「武士道」を読む人なんて"変人"でしょう、きっと。それが、「ラスト・サムライ」というものが先にあることで電車の中でも堂々と読める。
同じように会社概要のページを見るひとなんていうのは絶対少数派、その中でユーザーに影響を与えうるオピニオンリーダー層に属する人は更に少数なのではないでしょうか。
そう考えると、メッセージの出し方は上手いんでしょうね。


This page is powered by Blogger. Isn't yours?