火曜日, 5月 04, 2004

上司の形而上学 

「形而上学とは、成果主義成果主義と念仏のように繰り返しながらも、結局は根性なんだと言って憚らず、その日の気分に付き合ってくれる部下を仕事の出来ると真剣に思い込んでいる上司の頭の中のように、決して科学的探究や経験的観察によってはとてもとても捉えることの出来ないチョー自然的な物事について、純粋に概念的な思考で考えようというもの。
う〜ん、我ながら良く出来た定義。。。」
「形而上学っていうのはmetaphysicsの訳語で、metaphysicsというのはアリストテレスの言うところの『第一哲学』が、その後のアンドロニコスがアリストテレス著作集の編集過程で自然学(physika)の後(meta)に置かれたのでmetaphysicsってなったのよね。
もっとも、形而上学の始まりはアリストテレスの師匠であるプラトンをもって嚆矢とされている。
日本語の形而上学というのは、井上哲次朗が『易経』繋辞上伝の"形而上者謂之道、形而下者謂之器(形よりして上なる者これを道と謂い、形よりして下なる者これを器と謂う)"っていうところから訳した」
「物事の背後にある形となって現れない本質っていうくらいの意味かな。
一貫性のないその場限りの行動をとる上司の行動をいくら観察しても何も得るところがない。そこで、表に出てくる行動を観察することではなくて、その奥に潜む本質について思考しようよって、まぁそういうところだね」
「でもねぇ、そういう行動におよそ一貫性のない人の行動を一所懸命に考えてみてもしょうがないんじゃないかしらね。
強いて言えば、一貫性がない、そのば限りの思いつきで行動するっていうところが一貫しているだけでしょ。普通は害はないものだけど、人を動かすことの出来るような権限だけを持っている場合はやはり困りものだわね。
そういう人には、ルルドの泉の水でお茶でも飲んだほうが良いんじゃない?」



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形而上学〈上〉 岩波文庫
アリストテレス (著), 出 隆 (翻訳)

※ルルドの泉(Lourdes,マサビエルの窪みに湧く)は1858年に少女ベルナデット・スビルーによって発見された。奇跡の泉と呼ばれ様々な病を癒したという。中でも、ノーベル生理・医学賞を受賞したフランスの医学者アレキシス・カレル博士(Alexis Carrel,1873-1944)が1903年に重症の結核性腹膜炎患者がルルドの泉で回復した事例を医学界で発表したしたことで科学者、聖職者双方に衝撃を与えた。なお、ベルナデット・スビルー(St. Bernadette Soubirous of Lourdes,1858-79)は1933年にローマ法王ピウス11世によって聖女に列せられヌベールのサン・ジルタール修道院の礼拝堂に遺体が安置されている。ガラス張りのいわゆる聖遺匣に安置されており、その姿そのものが奇跡とも言われている。
[参考]ルルドの群集:J.K.ユイスマンス (著), 田辺 保

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