木曜日, 4月 15, 2004

OSの価格とオフィス製品の価格 

Pricing in a Networked World /Nicholas Economidesで、何故、WindowsはOfficeより安いのかの考察がされているわね。当たり前なんだけど、双方の製品にフィードバックのあるネットワーク効果が働くということが原因としている」
「ネットワーク効果というのは、経済学における用語で、ネットワーク外部性がもたらす効果ということだよね。
ネットワーク外部性というのは、実は測ってみるということが難しい現象の一つではあるわけで経済学の実証では頭が痛いところ。
そういった学問的なことはさておいて、その外部性というのは『同じ財・サービスを消費する個人の数が増えれば増えるほど、その財・サービスの消費から得られる効用が高まる効果』と言える」
「今の例だと、OSを使う人が増えれば増えるほどOSを使うことによる効用が増すということが言えるわね。
WindowsというOSを供給しているマイクロソフト社にとってみれば、ワードやエクセルといったオフィス製品のユーザーが増えれば増えるほどWindowsのユーザーも増えることになる。さらに、オフィス製品に該当するところはマイクロソフト社の製品ではなくても良いわけで、IBMの製品であっても、それ以外の会社の製品であっても全く構わない。
大事なのはそうした製品の需要が増えることでOSであるWindowsの需要も増えるという関係にあるということ。
ネットワークの外部性というのは、例えばWindowsの場合にはWindowsのユーザー数が増えることで累積的に効用が高まり、ユーザーが増えてくるという現象。この直接的な現象の他に補完財を介してネットワーク外部性が働いて、ユーザー数が増えていくという効果もあるわ」
「補完財というのは通常他の製品と一緒に買う製品と言っていた人がいたけど言いえているね。
専門的には需要の交差弾力性が0以下の財を補完財というんだけど、これじゃ不親切だね。ある製品の価格が上昇したときに、需要が下がる他の製品のことって言えば良いかな」
「で、そのネットワーク外部性が働くことを熟知しているから、マイクロソフトはOfficeシリーズにより投資を行うことでOSの収益をあげるインセンティブを持つというわけね。OSのほうは他社製品が売れることでも需要を伸ばすことが出来るわけで、そうすると、OSには相対的に多額の資金を投入する必要はないことになる」
「WindowsとOfficeだけではなくて、この図式、サーバーとDBMSなどで応用可能でしょう。サーバーがグリッドになるとグリッド関連製品とサーバーとの間で成立するか、あるいはサーバーとDBMSとの関係が逆転しそうだね。つまり、収益のフィードバックは絶対的ではないということになる。これって、googleとYahooとの関係にも似ているように思えます。この場合はフィードバック・ループがある時点で完全に逆転したってことかな。ここに、更に大きなプラットフォーム・フィードバックを握るMSがチョッカイを出すとどうなるのか。SUNとMSの恋愛もJVMというプラットフォーム・フィードバックを抑えるためとも思えてくるなぁ」

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