水曜日, 4月 07, 2004

グリッド 

すぐに役立つことを強く求める風潮の中で、すぐには役に立たないことを求める場に立って、すぐに役に立つこととは何かを思考したことは、時間の無駄とはならなかったと考えています......

「最近、そこいら中でグリッド・コンピューティングという言葉が踊っている。この言葉を聞かない日はないんじゃないかって思えるくらい。
コンピュータ・サイテンスを専門としている人は除いて、このグリッド・コンピューティングって一体何なのって問いに答えられる人はどれ程いるのだろうね」
「そういうあなただって怪しいでしょ。
グリッド・コンピューティングというのは、コンピュータ産業をユーティリティ産業、つまり電力産業などね、そういった産業のようにしていこうっていうユーティリティ化の流れの一つと言って良いでしょうね。
コンセントにプラグを差し込めば、発電設備がどうなっているのかとか送電線の技術がどうだとか、そういう技術的な細かいことを知らなくても簡単に電力を使うことが出来る。コンピュータもそういう具合になりましょうっていう、そういう文脈の中で使われているわ」
「確かに、グリッドという言葉自体が電力網という意味のパワーグリッドに由来しているとされている。
で、インターネットを経由して何百万台というパソコンを繋げてスーパーコンピュータ並の計算能力を実現しようというのがグリッド・コンピューティング」
梅田氏の説を借りると、インターネットの『こちら』にあるのがスーパーコンピュータで、インターネットの『あちら』にあるのがグリッド・コンピューティングということになるのかしらね」
「スーパーコンピュータではNECが開発した地球シミュレータが有名で、スーパーコンピュータの世界ランキングで現段階でも堂々の一位。
地球シミュレータが人類のパラダイムを変える』とも言われている。
対比されるグリッド・コンピューティングのほうは、単なる計算能力の問題ではないものがありそう。スパコンの性能との単純比較はしないでね、と。なんと言ったって、同一企業の中にあるパソコンを繋いでどうこうという次元には留まらない。
意外にこの辺りは奥がフカヒレ。ヒレ肉、トンカツですなぁ」
「何、それ?
グリッド・コンピューティングの例として良く知られているのは、地球外生命体を探そうというプロジェクト、SETI@HOME。これは、インターネットに接続出来るパソコンを持っている人ならば誰でも参加できるプロジェクトとして知られているわね。
私も自分のパソコンでやってみたけど」
「それから、バイオ・グリッドプロジェクトなんていうのもあるね。
一口にグリッドというけれど、SETI@HOMEのように不特定のコンピュータをインターネットを介して沢山結ぼうという試みはメガコンピューティングと呼ばれる。
これに対して、今、流行のグリッド・コンピューティングは『ビジネスグリッド』『データグリッド』『コンピューティンググリッド』なんていう種類に分けられたりするけど、繋げるコンピュータが特定多数であるというところが特徴だね」


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グリッド・コンピューティングとは何か―Globus Toolkitではじめるグリッドの基礎

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