月曜日, 3月 08, 2004

川辺の火星温泉は露天風呂? 

「4日に米国の無人火星探査車オポチュニティー(Opportunity Rover)が火星で水が存在した痕跡を見つけたという発表があったわね。
なんでも、着陸地点のメリディアン台地(Meridiani Planum)の岩石を採取して調べた結果どうやら水があったらしいと」
「El Capitanって名付けられた岩を穿ったら硫化塩(sulfate salts)、硫酸鉄水和物の鉄明礬石(jarosite、K2Fe63+(SO4)4(OH)12)、それに赤鉄鉱(hematite)が見つかったって言っているね。メスバウワー分光計(The Mössbauer spectrometer)で調べた結果で、鉄明礬石は酸性の水に長いこと浸かっていないと出来ない物質だし、硫化塩も水がないと出来ない物質だ」
「鉄明礬石って馴染みがないけど、1852年にスペインのSierra AlmagrenaのJaroso川で発見された物質で褐色をした八面体の結晶状のもの。
礬(ばん)というのはアルミニウムの意味。化学ではミョウバンという具合にハイカラにカタカナで書くわね。で、明礬は、そのアルミニウムかクロム、鉄など三価金属からなる硫酸塩とカリウムかアンモニウム、ナトリウムなど一価陽イオンの硫酸塩との複塩の一般的名称」
「あのさぁ、それって全然、全く分からない。
ようは別府温泉などの明礬・緑礬泉でプカプカ浮いている湯ノ花(コロイド)に含まれているものだね。
正確じゃないけど。イメージとして湯ノ花。ということは水がないと出来ないってこと。それから、硫酸塩というのは『にがり(豆腐用凝固剤)』だね。
これも水と関係が深い」
「折角、化学っぽく説明したのに...
化学らしさを貫くわよ、今回は。でね、そうした物質の他にも
○岩石中の「がま(vugs)」と呼ばれる小空洞
○球状の鉱物
○斜層理(crossbed)という地層構造
があったことから水が存在したことが明らかだという発表ね」
「河原にある石の連想だよね。
コロコロと丸い石とその小石に削られた大きな岩の窪みってとこだ。
うんうん、それは水があったということの有力な証拠になるね。メリディアン台地(Meridiani Planum)というのは、さしずめ水辺の温泉ってとこかな。
斜層理っていうのも川辺に見られるグニャリとした地層だね。古い地層が水にえぐられて、その上に新しい地層が積み重なる。だから、地層と地層がクロスしているようになるわけだ。う〜ん、やはり水辺の火星温泉かぁ」
「斜層理は水の力で出来たとは限らないのよ。風の力でも出来る可能性があるらしいわ。
でも、他の証拠が幾つか見つかって、その上に斜層理が見られたってことは水があった可能性が極めて高いってことになるんでしょうね」

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