火曜日, 3月 02, 2004

昆虫食が地球を救う 

「世界の人口は国連の推計によると2030年には83億人になるとされる。この人口を支えるのに必要な食料は穀物で28億トンと言われている。今の段階での穀物生産量が20億トン弱。これだけの穀物生産量を確保するのは大変で相当な規模での食糧危機が発生するんじゃないかと危惧されているね」
「それってマルサスの人口論の轍を踏むということはないの?
18世紀の末に経済学者マルサスがヨーロッパの人口増加は食糧生産に追いつくことが出来ず19世紀には食糧危機に陥ると『人口論』で警告した。大真面目だったんだけど、マルサスの警告は危惧に留まり現実のものとはならなかった。
新大陸でリン酸であるグアノと窒酸であるチリ硝石という無機肥料が発見されて食糧増産が実現して新大陸からヨーロッパに多くの食料が流入したことで警告が実現しなかったわけよね。
これは、農芸化学の父と言われるリービッヒ(J.v.Liebig)が植物の栄養素が無機物であるという無機栄養説を唱えたことが大きく影響したわけだけど」
「今のままだと食糧危機が懸念されるわけだけど、18世紀末と同じ状況になる。つまり、食糧危機に陥らないという可能性はあるね。
穀物の大幅な増産というのは困難だということで注目されているのは昆虫食。何といっても全動物の中で最も種数が多いのが昆虫。昆虫類(Class Insecta)は74万種類もいる。これを食料としない手はないわけだ」
「世界で見ると昆虫を食べている地域というのは意外に多いしね。日本でも長野は有名だけどそれ以外でも結構ある。イナゴなどは広く食べられているわ。ザザ虫っていうのは限られているけど」
「ザザ虫って川原にいるムシでしょ。
昆虫というのは蛋白質がギュっと詰まっている。だからこそ食糧危機の切り札となるわけだね。昆虫というと、体が頭、胸、腹の3つに別れ、脚が3対6本で胸部の下から出、翅が2対4枚というのが特徴」
「節足動物(Arhropoda)という分類に括られているわね。節足動物(Arhropoda)というと、三葉虫が有名でカンブリア紀までには地球上にいたのよね。
そのうち昆虫は多足類から別れて進化し、デポン紀には無翅の昆虫類が登場してきている。もうずっと昔から地球にいたわけね」
「しかも沢山ね。この豊富な昆虫を食料資源とは見做してこなかったということが不思議なくらいだね」


cover

虫を食べる人びと
三橋 淳 (著)

This page is powered by Blogger. Isn't yours?