月曜日, 2月 02, 2004

DNA 

二重らせん発見50周年を記念し、発見者であるジェームス・ワトソン本人がDNAに関して綴った本。DNAという言葉を見て、理系アレルギーを起こす必要は全くない。内容は
遺伝子ビジネスへの懸念から犯罪捜査への応用まで多岐にわたり、読み物としてページを捲っていくことが出来る。
特に、遺伝学の歴史の叙述は素人にも分かり易い。
本書の中で、著者が生物学に関心を持ったきっかけとして、物理学者のシレジンガーが著した「生命とは何か」という本を挙げていた。この本には思い出がある。高校生の時に初めて読んだのだが、深く理解するということは出来なかったとしても、それまで学校の教科区分に従って物理と化学と生物学とは別個のものだと頭から決め付けていた私にとってはハンマーで叩かれたような衝撃を受けた。
物理と化学はなんとなく根底で同じ原理で説明出来るのだろうとは漠として感じていた。地学もしかり。地学などは地球物理学と重なるところもある。しかし、生物学は、そうした純粋科学的な体系とは幾分か異なる体系を持っているものではないかという先入観を持ってしまっていた。ところが、シュレジンガーは、生物というのは周囲に対してエントロピーを放出することによって非平衡状態を維持しているということを指摘し、そもそも生命は無数の原子からなる一つの系であると言い切っている。ここで、まずガツンとやられた。さらに、そうした系が熱的な揺らぎによって系としての形を保っているというのである。そして、「生命とは何か」を知る鍵は遺伝子にあるとシュレジンガーは指摘する。
この一言が如何に大きかったのかはワトソンによる本書を読むと良くわかる。


cover

J.D.ワトソン (著), 青木 薫

「ちなみに、DNAというのは化学的にはリン酸、デオキシリボースと呼ばれる糖、それから塩基からなるヌクレオチドっていうものがいくつもつながって出来ているのね。
で、塩基っていうのが、良く聞くアデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)の4種類のモノからなっている。ほら、これって呪文のように出てくるでしょ。これを唱えていると濃い口醤油じゃなくて、恋も叶う。なんてことはないけど。
それから、こっちはあまり馴染みがないかもしれないけど、ヌクレオチドには、ピリミジンという塩基を含むものとプリンという塩基を含むものがあるわ」

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