日曜日, 2月 15, 2004

色即是空、空即是色 

「何もない空間。そこにあるのは無のみ。それが真空」
「だけど、その真空の宇宙空間に浮かんでいる星同士は引力で引かれ合う。何もないのだけれども力が伝播する。
磁力が伝わる。これは、どう説明するのかっていう問題がある」
「磁力は物質ではないわ。
でも、力が伝わる。こうしたことの説明として、真空には物質はないのだけれども電磁場という『場』を作り出す潜在的な力があるんだって、そういうことが言われるわね。
細分化という科学の王道に沿って考えていって、その先に見えてきたのが物質と物質との間の相互作用というものの重要性。今のところ、この相互作用というのは、重力、電磁気力の他、素粒子のレベル、つまり一見すると私達の日常生活には縁がないレベルということになるけど、そこで働く強い相互作用と弱い相互作用というのがあるということが知られている」
「強い相互作用というのは素粒子(クォーク)間に働く力のことで、弱い相互作用というのはベータ崩壊等に関係する力のことだ。まぁ、そこは置いておいて、『場』という考え方は、場自体、電磁場で説明するほうが良いかな。電磁場自体がエネルギーを持つことが出来るんだと、そう説明が付けられる。
この考え方が確率的な思考方法に結びつくと面白いことになる」
「人生は全て確率的。確定的だと思えることも、単に時間の取り方が違うだけ。全ては移ろいやすく。全ては儚い」
「『場』はエネルギーを持っている。持っているけれども、そのエネルギーというものは實は非常に揺らいでいる。
この辺りのことは物質である粒子の位置と運動量を同時に確定することは出来ないというハイゼンベルグの不確定原理という形で整理されているわけだ」
「難しい表現になっているけど『場』の持つエネルギーは決して安定しているものではないということね、つまるところ」
「そういうこと。
そのことと、物質とエネルギーとの間にある関係。これはアインシュタインが物質の質量をm、エネルギーをE、光の速度をcとすると、それらの間に E = mc2 という関係があるということを見つけている。
つまり、エネルギーが揺らぐと、無から物質が誕生するということなんだね」
「色即是空、空即是色」


cover

物理学はいかに創られたか―初期の観念から相対性理論及び量子論への思想の発展 (上巻) 岩波新書 赤版 (50)
アインシュタイン (著), インフェルト (著), 石原 純

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