月曜日, 2月 09, 2004

大股開きと威嚇の本能 

「男の人って電車で座席に座るときに大きく股を広げて座る人が多くない?」
「少なくとも、僕は股を大きく広げたりはしないよ。
だって、ほら疲れるから。股関節がね。
でも、多いとは言えるだろうね。あれって動物的な本能のせいじゃないのかな。
女性は防御的意味合いを含めて大抵は大きく股を広げて椅子に座ったりはしない」
「文化的な意味じゃなくってこと?」
「それもあるのだろうけどね。
いづれにしても、その根源は動物的な本能じゃないかって思うね。
ほら、動物の威嚇の行動では体を大きく見せるのは常套手段だって言うでしょ」
「襟巻きトカゲとか。猫が毛を逆立てるとか」
「それと同じで男性の場合はオレはこんなに大きいぞって。
凄いだろって、ね。
もう、そうすることの意味というのは薄れてきているのだろうけど、ほら、人間の脳というのは3つの部分からなるなんていうじゃない」
「爬虫類の脳、哺乳類の脳、それから霊長類の脳ね。
アメリカの神経生理学者ポール・マクリーン(Paul D. MacLean)はこの3つの脳を『三位一体の脳』なんてしゃれた名付けをして、この3つの脳が協調して作業しているって言った。
そこのところを考えると、動物的本能は3つの脳に確りと刻まれているわけね」
「動物の世界は弱肉強食だからね。闘うと負けちゃいそうなんて場合は体を大きく見せて本当は強いんだぞって、そういう具合にやる必要がある。
すると、電車で大きく股を開いて座っている男性も可愛く見えてくるよ、きっと」
「弱いものが強く、この場合は大きいことがイコール強いことだけど、そう見せるだけではないと思うわ。威嚇の機能は。
本当に、文字通り本当に強いものが相手に無駄な争いを避けさせるために体を大きく見せることもあると思う」
「なるほどね、それは言える」


cover

三つの脳の進化―反射脳・情動脳・理性脳と「人生らしさ」の起源
ポール・D. マクリーン (著), Paul D. MacLean (原著), 法橋 登 (翻訳)

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