水曜日, 1月 28, 2004

50年先、ICT支出でBRIC諸国大きな地位

ゴールドマン・サックスからBRICと共に見る2050年への道(Dreaming with BRICs: The Path to 2050)というレポートが出された。
2050年という非常に遠い先の世界を考察するものである。日本企業は長期的にものを考え、米国は短期的にしか見ないとしばしば言われる。こうした金太郎飴的な考え方はやめたほうが良さそう。日本の企業で、特に大企業で50年先のことを考えて企業戦略を練っているところがどの位あるのだろうか。おそらく、目先3ヵ月の利益をどう捻出するのかで精一杯というところが結構多いのではないだろうか。せいぜい1年先だろう。それから先は、「昔と違って今は変化が激しくて予測を立てることが出来ない」といった一見するともっともらしいような理由を付けて考えることを回避している。企業とは業を企てると書く。企てるのだ。余人が予測しえない状況を考えて先回りして先手を打ち、そして儲けを得るというのが企業だろう。長い間、ただただ米国の後姿を何も考えずに追い求めてきた結果がこうなのか。ここで、そもそも日本人はなどと言うのもやめよう。明治維新の只中に生きた人々は方向は様々であったにせよ、まるきり欧米思考でもなくまるきり華夷秩序の枠の中での思考でもなく、手探りで、それこそ命がけで考えて現代日本の基礎を築いたのではないだろうか。私たちは、間違いなく、彼らの子孫なのである。出来ないことはない。
さて、ゴールドマン・サックスのレポートにいうBRICというのはブラジル、ロシア、インドそして中国のことを指す。今後大きな経済成長が期待出来る国々ということになる。なんと、そのBRIC諸国の経済規模が2025年までにG6諸国の半分に達し、40年以内にはG6諸国よりも大きくなるというのだ。そして、現在のG6諸国のうち日本と米国だけが上位6位以内に留まるに過ぎないとする。

世界銀行の経済統計で確認してみる。
ブラジル:4,974億ドル(2002年)
ロシア:3,079億ドル(2002年)
中国:1兆2,000億ドル(2002年)
インド:5,015億ドル(2002年)

これに対して、G6各国は
日本国:4兆3,000億ドル(2002年)
アメリカ合衆国:10兆1,000億ドル(2002年)
ドイツ連邦共和国:1兆9,000億ドル(2002年)
フランス共和国:1兆3,000億ドル(2002年)
英国:1兆5,000億ドル(2002年)
イタリア共和国:1兆1,000億ドル(2002年)

ちなみに、これら各国の情報通信(ICT)支出を見てみると次のようになる。
ブラジル:500億3,100万ドル(2001年)====>GDPの8.3%
ロシア:99億800万ドル(2001年)====>GDPの3.3%
中国:666億1,200万ドル(2001年)====>GDPの5.7%
インド:196億6,200万ドル(2001年)====>GDPの3.9%

日本国:4,137億7,200万ドル(2001年)====>GDPの9.6%
アメリカ合衆国:8,126億3,500万ドル(2001年)====>GDPの7.9%
ドイツ連邦共和国:1,546億4,500万ドル(2001年)====>GDPの7.9%
フランス共和国:1,205億6,900万ドル(2001年)====>GDPの9.1%
英国:1,377億2,600万ドル(2001年)====>GDPの9.7%
イタリア共和国:645億5,500万ドル(2001年)====>GDPの5.7%

仮に、物凄く控えめに見てBRIC諸国の情報通信支出の割合が現在のままで推移するとしても、現在はG6諸国の8%程度にしか過ぎない情報通信支出が2050年には80%を越える。このように考えても、このレポートのシナリオの意味するところの大きさが分かる。