静かな地殻変動
モルガン・スタンレーのウィークリー・インターナショナル・ブリーフィングの9月20日付記事はStephen Roach氏による『グローバル:生産性の最終段階?』というもの。
この中で氏はITは生産性上昇に貢献したが、その生産性上昇が限界に達しつつあるという指摘を具体的な数値を挙げて示している。
まず、
「情報処理機器およびソフトウエアは現時点で実質企業設備機器投資の58%を占め、1995年の35%から著しく増加」
したことでITそのものが飽和状態になっているとする。
しかし、こうした"飽和論"は狼少年的に繰り返されてきたので、これだけでは肯定するわけにはいかない。
とはいえ、
「生産性回復が「容易に達成される」局面がほぼ終了した可能性がある」
という指摘には耳を素直に傾ける必要がある。
次に、
「単位労働コストは2002、2003両年に平均0.75%減少した。少なくとも第2次世界大戦以降、労働コストが2年間でこれほど著しい減少を示したことはない」
という事実と
「2003年における企業設備投資のうち「純」投資の部分、すなわち投資総額から減価した資本の更新に係る支出を控除したものは、2000年のピークを約60%下回った」
つまり、米国企業は過激なコスト削減に走って、生産能力増強投資を行わなかったという事実を挙げて「コスト削減が限界に近づいた可能性」があるとする。
それでは、果たして生産性上昇トレンドの低下という現象は実際に発生しているのか。
米国労働統計局の統計によると、過去11四半期の企業の生産性上昇率の平均は年率4.5%。
2002年平均は4.4%、2003年も4.4%。
しかし、2004年第1四半期は3.7%、第2四半期は2.5%と上昇率が鈍化してきている。
([参照])
コスト削減による生産性上昇という効果は、こうした数値を見る限りでは剥落しつつあると言える。
そして、その代わりに売上を増加させるためのITというのが重要性を増してきている。見掛けの生産性上昇という意味では同じように映るけれども、このコスト削減のためのITと売上増加のためのITはかなり違う側面を持っている。
その典型的な例とも言えるのが
"Amazon to build, run Bombay Co. Web sites"
という、年商6億ドル、うちオンラインセールスが1700万ドルの家具雑貨販売チェーン、Bombay Co.のサイト構築およびホスティングをAmazonが受けるという記事。
Bombay Co.はIBMのユーザーだった点も重要だけれども、何と言っても、この契約が売上増加に応じてAmazonにフィーを払うという形態を採用している点。
サイトの最下部の" bombaycompany.com powered by Amazon Services"という一文の"powered by"の意味が違う。
IBMが唱えるオンデマンドは、こうした静かな地殻変動に耐え得るのだろうか。疑問の余地があるところ。
この中で氏はITは生産性上昇に貢献したが、その生産性上昇が限界に達しつつあるという指摘を具体的な数値を挙げて示している。
まず、
「情報処理機器およびソフトウエアは現時点で実質企業設備機器投資の58%を占め、1995年の35%から著しく増加」
したことでITそのものが飽和状態になっているとする。
しかし、こうした"飽和論"は狼少年的に繰り返されてきたので、これだけでは肯定するわけにはいかない。
とはいえ、
「生産性回復が「容易に達成される」局面がほぼ終了した可能性がある」
という指摘には耳を素直に傾ける必要がある。
次に、
「単位労働コストは2002、2003両年に平均0.75%減少した。少なくとも第2次世界大戦以降、労働コストが2年間でこれほど著しい減少を示したことはない」
という事実と
「2003年における企業設備投資のうち「純」投資の部分、すなわち投資総額から減価した資本の更新に係る支出を控除したものは、2000年のピークを約60%下回った」
つまり、米国企業は過激なコスト削減に走って、生産能力増強投資を行わなかったという事実を挙げて「コスト削減が限界に近づいた可能性」があるとする。
それでは、果たして生産性上昇トレンドの低下という現象は実際に発生しているのか。
米国労働統計局の統計によると、過去11四半期の企業の生産性上昇率の平均は年率4.5%。
2002年平均は4.4%、2003年も4.4%。
しかし、2004年第1四半期は3.7%、第2四半期は2.5%と上昇率が鈍化してきている。
([参照])
コスト削減による生産性上昇という効果は、こうした数値を見る限りでは剥落しつつあると言える。
そして、その代わりに売上を増加させるためのITというのが重要性を増してきている。見掛けの生産性上昇という意味では同じように映るけれども、このコスト削減のためのITと売上増加のためのITはかなり違う側面を持っている。
その典型的な例とも言えるのが
"Amazon to build, run Bombay Co. Web sites"
という、年商6億ドル、うちオンラインセールスが1700万ドルの家具雑貨販売チェーン、Bombay Co.のサイト構築およびホスティングをAmazonが受けるという記事。
Bombay Co.はIBMのユーザーだった点も重要だけれども、何と言っても、この契約が売上増加に応じてAmazonにフィーを払うという形態を採用している点。
サイトの最下部の" bombaycompany.com powered by Amazon Services"という一文の"powered by"の意味が違う。
IBMが唱えるオンデマンドは、こうした静かな地殻変動に耐え得るのだろうか。疑問の余地があるところ。
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