日本のSI市場はどっちに流れている?
日本のSI市場はどう動いていくのでしょう。
単価の下落によって市場の拡大スピードが落ちているということが指摘されています。
しかし、経済産業省の「特サビ統計」では、明確な形でSI市場の拡大スピードが落ちているということを確認出来ません。
しかも、単価の下落という現象も日銀の「企業向けサービス価格指数」では確認出来ません。
公式な統計であれ、民間の統計であれ、完全な統計というのを期待するのは無理で、そこには何らかの推定の誤差が多かれ少なかれ含まれています。
これが民間の調査ではなおさらということになります。
そうだからといって、それらの数値を全く信用しない、あるいは自分のストーリーに都合の良い結果だけを採用するというのも考え物。
こうした場合は、一つの調査結果で全てを上手く説明しようという方針を捨てて、幾つかの結果を組み合わせて推論を行ってみるべきでしょう。
定性情報に頼りたい気持ちになりますが、100の定性情報を積み重ねても1つの反証としての定性情報が出てしまうと仮説が脆くも崩れ去ってしまいます。
というわけで、一体、SI市場がどう動いていくのかということを考えて見ます。
まず、「IT関連統計資料集」の
表26 情報サービス業の事業所数,従業者数及び年間売上高等(平成8~13年)
を見ると従業員一人当たり売上高は上昇しています。
(※最新の統計数値)
単価(人月単価)も大きく下落せず、SIの売上総額も伸びていて、かつ1人当りの売上も減っていない。
ここまでだと、日本のSI市場に関する各種の定性情報とは食い違います。
但し、IT系アナリスト以外の各種の情報を見てみると「足下の旺盛な設備投資によってSI市場の単価も上昇、SI市場も伸びている」とする見解も僅かにあります。
一方で、同じ資料集の
表45 コンピュータ利用企業の1企業当たりIT関連諸経費年間支出額(平成8~13年)
1企業当たりIT関連諸経費年間支出額を見ると少し減っています。
但し、最新の統計では上昇しています。
ここまでですと、
これは、少なくとも、日本のSI市場は(成熟しつつあるとしても)拡大している。
その中で利益が出ないということはSIer自体の生産性の問題であって市場の問題ではない。
と言えるかもしれません。
ですが、短絡的に結論を出さずに、もう一段進んでみます。
定性情報と定量情報が異なっている中で根拠なしに片方を全面的に信用すれば方向性を見誤ることになります。
日本全体のSIの売上総額は次のように分解して考えることが出来ます。
( 人月単価(1)×必要人月数(2)×ベンダー数(3) )×ユーザー企業数(4)=総額(5)
(1)は上昇↑:サービス価格指数より
(2)は下落↓:定性情報
====>(1)×(2)=1ベンダーにとっての受注単価===>下落↓:定性情報
しかし、
(1)×(2)×(3)=ユーザー企業の1社当り平均支出は上昇↑
====>プロジェクトが細分化されている?
(4)はおそらく上昇↑なので
(5)も上昇↑
こう考えると、個々の現象が一応は決して矛盾していないと言えるでしょう。
以上から将来を考えると、
(1)は 横ばい→ or 上昇↑ と考えられるので、足下の傾向からすると伸び率が鈍化しているため 横ばい → となる可能性が高い。
(2)は 下落↓:これは収益環境改善とリンクする可能性があるでしょう。
===>従って、ベンダーにとっての受注単価は下落↓傾向になる可能性が高い
以上から
(3)は 収益環境から淘汰が進むので 下落↓ or 出入りがあっても 横ばい→
一方で、遍くIT化されることを考えれば
(4)は 上昇 ↑ しかし、 既に普及がある程度進んでいることを考えれば 横ばい→
とすると、
SI市場全体では横ばい→。
しかも、1ベンダーにとっては受注単価の継続的下落を伴った総額の増加(=豊作貧乏)。
なお、(3)は開発期間、(4)はシステム需要数としたほうが良いかもしれません。
単価の下落によって市場の拡大スピードが落ちているということが指摘されています。
しかし、経済産業省の「特サビ統計」では、明確な形でSI市場の拡大スピードが落ちているということを確認出来ません。
しかも、単価の下落という現象も日銀の「企業向けサービス価格指数」では確認出来ません。
公式な統計であれ、民間の統計であれ、完全な統計というのを期待するのは無理で、そこには何らかの推定の誤差が多かれ少なかれ含まれています。
これが民間の調査ではなおさらということになります。
そうだからといって、それらの数値を全く信用しない、あるいは自分のストーリーに都合の良い結果だけを採用するというのも考え物。
こうした場合は、一つの調査結果で全てを上手く説明しようという方針を捨てて、幾つかの結果を組み合わせて推論を行ってみるべきでしょう。
定性情報に頼りたい気持ちになりますが、100の定性情報を積み重ねても1つの反証としての定性情報が出てしまうと仮説が脆くも崩れ去ってしまいます。
というわけで、一体、SI市場がどう動いていくのかということを考えて見ます。
まず、「IT関連統計資料集」の
表26 情報サービス業の事業所数,従業者数及び年間売上高等(平成8~13年)
を見ると従業員一人当たり売上高は上昇しています。
(※最新の統計数値)
単価(人月単価)も大きく下落せず、SIの売上総額も伸びていて、かつ1人当りの売上も減っていない。
ここまでだと、日本のSI市場に関する各種の定性情報とは食い違います。
但し、IT系アナリスト以外の各種の情報を見てみると「足下の旺盛な設備投資によってSI市場の単価も上昇、SI市場も伸びている」とする見解も僅かにあります。
一方で、同じ資料集の
表45 コンピュータ利用企業の1企業当たりIT関連諸経費年間支出額(平成8~13年)
1企業当たりIT関連諸経費年間支出額を見ると少し減っています。
但し、最新の統計では上昇しています。
ここまでですと、
これは、少なくとも、日本のSI市場は(成熟しつつあるとしても)拡大している。
その中で利益が出ないということはSIer自体の生産性の問題であって市場の問題ではない。
と言えるかもしれません。
ですが、短絡的に結論を出さずに、もう一段進んでみます。
定性情報と定量情報が異なっている中で根拠なしに片方を全面的に信用すれば方向性を見誤ることになります。
日本全体のSIの売上総額は次のように分解して考えることが出来ます。
( 人月単価(1)×必要人月数(2)×ベンダー数(3) )×ユーザー企業数(4)=総額(5)
(1)は上昇↑:サービス価格指数より
(2)は下落↓:定性情報
====>(1)×(2)=1ベンダーにとっての受注単価===>下落↓:定性情報
しかし、
(1)×(2)×(3)=ユーザー企業の1社当り平均支出は上昇↑
====>プロジェクトが細分化されている?
(4)はおそらく上昇↑なので
(5)も上昇↑
こう考えると、個々の現象が一応は決して矛盾していないと言えるでしょう。
以上から将来を考えると、
(1)は 横ばい→ or 上昇↑ と考えられるので、足下の傾向からすると伸び率が鈍化しているため 横ばい → となる可能性が高い。
(2)は 下落↓:これは収益環境改善とリンクする可能性があるでしょう。
===>従って、ベンダーにとっての受注単価は下落↓傾向になる可能性が高い
以上から
(3)は 収益環境から淘汰が進むので 下落↓ or 出入りがあっても 横ばい→
一方で、遍くIT化されることを考えれば
(4)は 上昇 ↑ しかし、 既に普及がある程度進んでいることを考えれば 横ばい→
とすると、
SI市場全体では横ばい→。
しかも、1ベンダーにとっては受注単価の継続的下落を伴った総額の増加(=豊作貧乏)。
なお、(3)は開発期間、(4)はシステム需要数としたほうが良いかもしれません。
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