米国ICT支出は、しばし休憩

上の図は5月までの米国のICT支出の動きを示したもの。青い線は実績で赤い線は傾向値。これをみると、どうも年初からの勢いが弱まってきています。PCが更新時期にあたっていることや企業のその他のICT設備も更新時期であることからすると、もう少し勢いがあっても良さそうなものです。
しかし、米国の景気自体が原油高や継続的な生産性上昇が雇用の拡大に結びついていないことなどからITに振り向ける予算に厳しいものがあること、さらにはITの価格下落も手伝っていると思われます。

前年同期比でみても変調がうかがえます。

また、しばしば指摘されているように、台湾のIT関連製品の生産はマザーボードは完全にピークを通りすぎて減少傾向、ディスクの生産もマザーボードほどではないものの伸びが弱まっています。
こうしてみると、米国のICT支出にブレーキがかかりつつあるように思えてきます。
しかし、台湾のICT生産動向については、かつては世界の生産動向の先行指数ではありましたが、下図にもあるように、その地位を中国やマレーシアなどへ譲っています。特に、中国の対米ICT輸出は2004年に入ってから目覚しい伸び。
こうしたことからすると、台湾のICT生産の伸びの鈍化にそれほど神経質になる必要はないでしょう。
但し、米国のICT支出が、ここにきて勢いを失っていることは事実であり、景気変動である在庫循環上も微妙な局面、良い方向に解釈するなら中だるみの状況に差し掛かっているということは留意しておく必要があるでしょう。
ちなみに、日本のICT需要の先行指標となるICT生産財の動きも3月の前年同期比 15.9% から4月が 15.6%、5月は 12.2% 、6月は試算中ですが更に低下の模様と、米国とシンクロした形になっています。これは、アテネ・オリンピックを目前に控えてオリンピック需要のための生産増体制が終了したことを統計的に示しています。
米国でも日本でも、依然としてICT需要は増加基調にあって堅調ではあるものの、瞬間風速が曲がり角に差し掛かっており、半年先まで堅調さを持続するためには、この盛り上がりがどこまでの波及効果をもたらすか注意が必要な時期に入ったと言えます。


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