火曜日, 8月 10, 2004

オンデマンドはエソラ事?

『野に出るための予算も,オンデマンド戦略向け100億ドルの10%,2005年までに10億ドルを振り向けた。それ以降,IBM基礎研はコンサルティング部門との協業を推進する枠組み「オンデマンド・イノベーション・サービス(ODIS)」に則り,約200人の研究者がIBMビジネスコンサルティングサービス(IBCS)と一緒に活動するようになっている。当面,IBMコンサルタントや顧客と一緒に,高度解析,ビジネス・プロセス変換,情報統合,実験経済学などの分野で仕事をする。』
出所:「研究者も街に出よ」,“技術オタク”を金に換える
IBM(2003/10/21)


で、取り上げられている"実験経済学"。

IBM Research News(2002/11/20)
" Initially, On Demand Innovation Services will concentrate research efforts on four key areas:"
として、4つの柱の一つとして位置付けられています。
参考:日本語の紹介記事

では、実験経済学というのは一体何者か。
イメージとしては
売り上げが最大になる価格設定の仕方
がガイドとなるでしょう。
上の例のように、オンデマンドでサービスを提供する場合に、そのサービスは性質から言っても同質では有り得ないわけです。
基本価格体系は一律時間課金だとしても、組み合わせの結果として得られる個別サービスに対する価格設定は一律にはならないでしょう(この時点でコモディティ・トラップから逃れています)。
そうすると、どういう価格で、どういう組み合わせのサービスを提供することがベストなのか。そういうことを追及するのが実験経済学の使命と言えます。
IBM内部でも「ブードゥー」と呼ばれていた、そういったところを研究するようになって来ているということは、「オンデマンド」というのが言葉遊びではないことを示していると思われます。
蛇足ですが、従来の製品・サービスのポートフォリオをそのままにしていても、「ブードゥー」が加味されることで質が変質します。
純粋に技術面だけを見ていると、この辺りは見逃してしまいがちですが、注意が必要だと思います。
パパママとセブンイレブンとの違い、Amazonと他社の違い、ウォルマートと....
これらは、製品ポートフォリオの違いではなく製品ポートフォリオを変化させる仕組みの違いに行き着くのではないでしょうか。
IBMが、オンデマンドだけではなく、SuSeなどオープンソースに積極的になっているのは、そこの所を狙おうとしているように感じられます。
また、こうした動きはIBMだけが作り出しているのではなく、世の中の流れの要請があるということも忘れてはならないでしょう。
そうすると、IBMだけを見て、しかも、IBMのテクニカルなところや単なる事業構成を見て、何も変わっていないと安心したり、仮にIBMが「オンデマンド」を失敗したとして、その方向性を否定することには慎重にならなければならないと思います。