
Olympicグループは, 1962年に東京都立川市において金澤富夫によって創業されたオリンピックショッピングセンターを起源とする.多摩地域における戦後の人口増加と消費拡大を背景に, 日用品や食品を低価格で提供するディスカウント型小売として出発した点に特色がある.
社名「Olympic」は, 1964年に開催された東京オリンピックに由来するものである.当時の日本社会においてオリンピックは高度経済成長と国際化を象徴する出来事であり, 同社はその名称を採用することで, 時代の躍動感や発展性, さらには「より高く, より強く, より速く」という価値観を企業イメージに重ね合わせたのである.
創業以降, 同社は首都圏を中心に店舗網を拡大し, ハイパーマーケットやスーパーマーケットといった多様な業態を組み合わせることで成長した.2000年代以降は持株会社制へ移行し, 専門店事業の強化やM&Aによる食品部門の拡充を進め, 連結売上高は1,000億円規模に到達した.急激な全国展開を志向するのではなく, 首都圏に経営資源を集中させた堅実な成長路線を採ってきた点に特徴がある.
経営体制に関しては, 創業者である金澤良樹の流れを汲む創業者一族が長らく経営の中核を担ってきた.実際に, 同社の代表者や主要経営陣には創業者一族の人物が継続的に就任しており, オーナー色の強い企業統治が維持されてきたといえる.ただし, 2010年代以降の持株会社化や事業再編の過程においては, 専門経営人材の登用や組織的経営への移行も進められ, いわゆる同族経営から一定の制度化された企業統治への転換が図られている.
そして2026年, パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスによる完全子会社化により, 同社は上場を廃止し, 大手流通グループの一員となった.この段階において, 資本構成の面では創業者一族による支配は相対的に後退し, 経営の主導権はPPIH側へ移行する構図となったと考えられる.