水曜日, 5月 26, 2004

気を引き締めて

2002年に政府が纏めた不良債権の抜本的処理と金融と産業の一体的再生を目的とする金融再生プログラム。
この金融再生プログラムは、2005年3月期までに不良債権比率を2002年3月末から半減させるとともに、銀行の繰延税金試算の算入根拠の開示を2003年3月期から求めている。
現段階(2004.3)での各銀行グループの"成績"を見てみると以下のようになる(2003年3月期との対比)。

 最終損益(億円)自己資本比率不良債権比率
みずほ▲23,771⇒4,0699.53%⇒11.35%6.29%⇒4.40%
三井住友▲4,653⇒3,30410.1%⇒11.37%8.4%⇒5.0%
三菱東京▲1,614⇒5,60810.84%⇒12.95%5.34%⇒2.93%
UFJ▲6,089⇒▲4,0289.96%⇒9.24%8.67%⇒8.5%
りそな▲8,376⇒▲16,6393.78%⇒7.75%9.32%⇒6.74%


昨年夏、金融庁は収益向上を求める業務改善命令をみずほフィナンシャルグループなど大手5行と、福岡シティ銀行など地方銀行・第二地銀10行に対して行った。このうち、国有化された足利銀行は6月に決算発表のために除外すると、UFJホールディングスと熊本ファミリー銀行を除く12行が経営健全化計画で定めた利益目標をクリアしている。
UFJホールディングスは780億円の最終黒字という業績予想を大幅に下回る結果となったことを受けて杉原武社長以下、寺西正司UFJ銀行頭取、土居安邦UFJ信託社長が退任を表明。
こうした事態に対して、関係が深いトヨタ自動車の奥田碩会長(元社外取締役)が支援の姿勢を示していることが伝えられている。
不良債権問題は非常にややこしい。ただ不良債権を削っていけば良いのかというとマクロ的に見るとそう単純にはいかないということは多くのエコノミストが再三指摘して久しいところ。
しかし、それはマクロでの話であり、現在の銀行に日本のマクロ経済のことまで考えを廻らすだけの余裕はないだろう。不良債権に対しては淡々と処理をしていかなければならない。
そして、景気に明るい兆しがしっかりと根付きつつある今年こそ気を引き締めなければならないだろう。