火曜日, 5月 25, 2004

IT支出はクールな局面に

どうやら、世界経済も上向きになってきているという中で、気になるのがIT支出はどうなるのかということ。
英エコノミスト誌ではメリル・リンチのSteven Milunovich氏による"ITの『波』は新しい技術が新しい技術への支出を伴う形で10年から15年は継続するだろう"という見解を紹介。例として、1970年代と1980年代初頭に企業がメインフレーム投資を行って、その結果としてIT支出がGDPの2%以下から3%へと上昇したことを挙げている。
同じ現象が2000年代にも起きるだろうという楽観的な、しかし根拠のある見解と言える。しかし、IT支出の対GDP比は低下してしまっている。ということは単純には図式が当て嵌まらない。これはITバブルの後遺症で、そのことを加味しても"IT spending is likely to grow only as fast as GDP for a few years"という。
また、ITバブル期のホットな技術に対してUBSのPip Coburn氏の言うところの"cold tech"の中で最もクールなのはLinuxで"In March, Forrester, an IT consultancy, found that 72% of corporate IT managers were intending to move their server-computers to Linux from Microsoft and Unix software. "という調査を紹介。クールな技術という表現は洒落たもの。投資が投資を呼ぶならぬ、技術が財布の紐を緩める。けれども、その技術はクールなもので、過剰な期待と興奮のあまりに収入の伸び以上に財布の紐を緩めることはないということか(IT支出はGDPの伸び相当で拡大していく)。
こうした動きに冷や水を浴びせる結果となっているのがSCOによる一連の訴訟。この点に関しては、フォレスター・リサーチの調査のように"it intimidated some 16% of firms into slowing their adoption of Linux"という懸念があるものの、HPによるユーザーに対する補償の動きが拡がるだろうとしている。つまり、クールな技術に対してはクールに対応ということなのだろう。