ぶらぶら絵葉書

八戸市魚菜小売市場

八戸市魚菜小売市場は,青森県八戸市陸奥湊に位置する市営の小売市場であり,1953[昭和28]年9月15日に戦後復興期の生活基盤支援と地域住民の日常生活支援を目的として開設された歴史ある施設である.JR八戸線陸奥湊駅から徒歩1分という好立地にあり,八戸港で水揚げされた新鮮な魚介類を中心に,地域住民の台所として70年以上にわたって親しまれ続けている.

開設当初は木造平屋建ての簡易な建物であったが,陸奥湊駅前という好立地もあって早朝から多くの人々で賑わい,行商人の女性や一般客が数多く訪れる活気ある市場として発展した.1967[昭和42]年には鉄筋コンクリート2階建ての施設に改築され,市場としての機能がさらに充実した.戦後復興期の設立経緯を持つ一方,次第に地域住民と観光客の両方に愛される市場として定着した.

市場内には約16軒の専門店舗が軒を連ね,八戸港で水揚げされたばかりの新鮮な魚介類を中心に,いくらの醤油漬け,惣菜,ごはんなど多彩な商品を取り扱っている.営業時間は午前3時から午後3時までで,商品がなくなり次第閉店するため,新鮮な食材を求める地元の人々や観光客は早朝から訪れる.朝食コーナーは午前5時から10時まで営業しており,イートインスペースで水揚げされたばかりの魚介類を使った朝食を味わうことができる.休業日は毎週日曜日,毎月第2土曜日,1月1日・2日である.

陸奥湊駅前周辺は,八戸市魚菜小売市場を中心として多くの魚介類小売店や仲卸業者が軒を連ねるエリアで,八戸の台所として親しまれている.平日や土曜日の早朝には駅前通り沿いで朝市も開催され,仕入れに来た飲食関係者や市民,観光客で賑わう.この朝市では水揚げされた魚を捌く光景も見られ,港町八戸の活気ある日常を感じ取ることができる.

施設の老朽化に伴い,2021年5月から大規模な改修工事が行われ,耐震対策として2階部分を減築して平屋建てに改修された.約1年8か月の工事期間を経て,2022年12月1日にリニューアルオープンし,昭和レトロな雰囲気を残しつつも,衛生的でバリアフリー性の高い現代的な施設として生まれ変わった.リニューアル後は地域住民や観光客から好評を博し,オープンから約4か月で利用者10万人を達成した.

八戸市魚菜小売市場の存在は,単なる商業施設を超えた文化的意義を持つ.戦後復興期の社会政策として始まり,地域住民の日常生活を支える台所としての役割を果たすとともに,港町八戸の食文化を体験できる観光資源としても重要な役割を担っている.早朝から活気にあふれる市場の光景は,漁業都市八戸の生活文化を表現しており,地域のアイデンティティの重要な構成要素となっている.

近年では八戸市の観光振興においても重要な位置を占め,八戸前沖で獲れる新鮮な魚介類を味わえる施設として国内外の観光客に注目されている.館鼻岸壁朝市などの大型朝市と並び,八戸の朝市文化を代表する施設の一つとして紹介され,港町八戸の食文化を直接体験できる貴重な拠点となっている.

@2018-04


今日も街角をぶらりと散策.
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