アウガ新鮮市場
アウガ新鮮市場は,青森市中心部に立地する複合施設 AUGA[アウガ] の地下1階に設けられた市場である.JR青森駅から徒歩圏内の位置にあり,市民の台所としての機能を果たすとともに,観光客が青森の食文化を直接体感できる場として親しまれている.
市場には,青森近海や県内各地から届く魚介類を中心に,地元農家の野菜・果物,精肉,乾物,漬物など幅広い食材が集まる.むつ湾産のホタテをはじめとする季節の鮮魚が早朝から並び,通りの活気と対面販売の距離感が市場らしい魅力を形づくる.飲食店も併設され,その場で海鮮丼や寿司などを味わうことができる.
アウガ新鮮市場の前身は,同地に存在した 駅前市場[市場団地] である.青森駅前第二地区第一種市街地再開発事業により,従前の駅前市場に入居していた店舗がアウガ地下1階の「新鮮市場」へ移転・再編された経緯をもつ.
アウガ全体は,第三セクター「青森駅前再開発ビル株式会社」が1992年4月に設立され,2001年1月,総事業費約185億円を投じて「フェスティバルシティ・アウガ」として開業した.商業施設と公共施設[市民図書館や市男女共同参画プラザ・カダールなど]が同居する複合ビルとして運営され,来場者数は2006年に年間636万人のピークを記録している.一方で商業収入は当初計画を下回り赤字が累積したため,2008年には青森市が金融機関から債権を買い取るなどの支援を行った.
経営再建は実らず,1~4階のショッピングフロアは2017年2月28日に閉館した[前年10月時点で入居テナントは36店舗].同年7月には,運営主体であった青森駅前再開発ビル株式会社が青森地裁へ特別清算を申請し,負債総額は約32億円であった.その後,建物は青森市が取得し,公共利用を主体とする方向へ再編された.2017年10月から2018年1月にかけて,1~4階には青森市役所駅前庁舎が順次移転し,現在は市民サービスの拠点機能が強まっている.
こうした経緯の中にあっても,地下のアウガ新鮮市場は営業を継続している.大規模商業フロアの閉鎖により施設全体の構成は変化したが,市場そのものは地域住民にとって不可欠な生活インフラであり続け,観光客にとっても地場の食材と対面で出会える青森の顔であり続ける.店頭発送などの利便も備わり,日常と旅情が交差する市場空間としての価値は揺らいでいない.
@2010-05
今日も街角をぶらりと散策.
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