喜多見氷川神社
喜多見氷川神社[正式名称:氷川神社]は,東京都世田谷区喜多見四丁目に鎮座する神社で,旧社格は郷社である.小田急小田原線喜多見駅から徒歩約15分の位置にある.旧喜多見村の鎮守として古くから信仰を集め,世田谷区内の大蔵氷川神社・宇奈根氷川神社とともに「三所明神社」と総称されてきた.
主祭神は素戔嗚尊であり,配祀として天照大神・稲田姫命を祀る.創建は天平12[740]年と伝えられるが,室町時代の洪水などにより縁起書・古文書が流失したため詳細は不明である.当初は多摩川沿いに鎮座していたとされる.
永禄13[1570]年,江戸城から当地に移り住んだ江戸氏の当主・江戸刑部頼忠が荒廃していた当社を修復し,祈願所とした.江戸氏は後に喜多見氏と改姓し,天和2[1682]には喜多見若狭守勝忠によって神領五石が寄進され,近世以降の社の基盤が整えられた.
1873[明治6]年に村社に列し,1884[明治17]年には郷社に昇格した.1922[大正11]年から1926[昭和元]年にかけて社殿の大規模改築が行われ,荘厳な社殿が整えられたが,1988[昭和63]年の火災により焼失した.現在の社殿は1990[平成2]年に再建されたものである.
参道中程に建つ二の鳥居は,承応3[1654]年に喜多見勝忠の子・重恒と重勝によって奉納されたものである.形式は明神鳥居で,小規模ながら端正で美しい造形を示す.笠木には「武蔵國多摩郡喜多見村 氷川大明神」と刻まれており,世田谷区に現存する最古の石鳥居として1985[昭和60]年に世田谷区指定有形文化財となった.
当社の節分祭における「鬼やらい行事」は,鬼問答と大黒舞から構成される独自の民俗芸能で,面や装束などの伝承具とともに貴重な文化財的価値を有する.これとともに奉納される「神前神楽」は五座[奉幣・榊・舞扇・弓・太刀]からなる神楽舞であり,秋の例祭でも奉納される.いずれも氏子の手によって代々継承され,世田谷区内では唯一無二の郷土芸能として高く評価されている.
@2017-08
今日も街角をぶらりと散策.
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