岡山駅前商店街
岡山駅前商店街は,岡山市北区の岡山駅東口から桃太郎大通りにかけて広がる商業集積地であり,戦後の復興と高度経済成長を通じて,岡山市の「玄関口」を形づくってきた商店街である.戦前の岡山駅前は,まだ市街の周縁的性格を帯びていたが,戦災により大半が焼失したのち,駅前広場とその正面の桃太郎大通りを軸に急速な再建が進められた.その過程で,駅と市街地を結ぶ商業空間として駅前商店街が形成された.
1950年代から1960年代にかけては,岡ビル市場をはじめとする共同店舗群が立ち並び,食料品や日用品を扱う個人商店が軒を連ねた.加えて,駅に直結する形でバス乗り場が整備され,人の流れが集中したため,駅前商店街は市内でも随一のにぎわいを誇った.駅前の象徴的な建物には岡ビル市場のほか,映画館や喫茶店などもあり,日常の買物だけでなく娯楽や社交の場としても重要な役割を果たした.
高度経済成長期には,大手百貨店である天満屋や高島屋とともに,駅前商店街は中心商業地の一翼を担った.しかし1970年代以降,郊外の国道沿いや新幹線駅西口側に大規模店舗やショッピングモールが次々と出現すると,駅前商店街の客足は徐々に遠のいた.さらに,モータリゼーションの進展により,自家用車でアクセス可能な郊外型ショッピングセンターが主流となり,駅前に徒歩で通う買物スタイルは衰退した.
それでも駅前商店街は,昭和の雰囲気を色濃く残す一角として存続し,岡ビル市場や個人経営の飲食店街は「ノスタルジーの街」として一定の支持を集めている.2000年代以降には空き店舗が増加したが,一方で老舗の居酒屋や小料理店は地元客や観光客に根強く支持されている.
現在の岡山駅前商店街は「スカイモール21」とも呼ばれ,飲食店,理髪店,ホテル等のサービス業の店舗が多く,また大型電気店,大型スーパーも商店街にあり,近くの映画館などの集客力も助けとなって営業を続けている.平成13年[2001年]に完成したトラス構造の高い天井が特徴的なアーケードがあり,入口にはスカイモール21の名前が刻まれ,岡山の玄関口らしく桃のオブジェが設置されている.
@2025-08
今日も街角をぶらりと散策.
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