ぶらぶら絵葉書

倉敷館

倉敷館は,倉敷美観地区の中心に位置し,倉敷川に架かる中橋の正面,倉敷民藝館の隣に建つ歴史的建造物である.

建設の歴史は大正6年[1917年]に遡る.当時の倉敷町役場として建築され,町の西洋化と行政機能の整備を意図した擬洋風の木造建築として誕生した.翌昭和3年[1928年]の市制施行により倉敷市へ改称された後,市役所として使用されたが,市役所機能が手狭となったため,昭和7年[1932年]に移転した.その後は倉敷市公益質屋,倉敷農業共済組合事務所,倉庫などに転用され,長らく荒廃状態にあった.

建物は木造2階建で建築面積は約140平方メートル,屋根は寄棟造,小屋組はトラス組である.北東隅に設けられた塔屋は二重屋根の構造で上部が銅板葺,他の屋根部分は桟瓦葺となっている.外壁は下見板張りに白ペンキ塗り仕上げが施され,大正期の軽快なスティックワークの意匠が随所に見られる.特に角部にそびえる塔屋の屋根形態は独特で,白壁の町並みの中でひときわ目を引く存在である.

保存と修復の歴史も注目に値する.市民の保存運動を背景に,昭和46年[1971年]に保存修理が実施され,同年4月から「倉敷館」として観光案内所・無料休憩所として開放された.その後,昭和60-62年[1985-1987年]にかけて解体修理,平成29年-令和2年[2017-2020年]に半解体修理が行われ,耐震性や利便性の向上を図りつつ歴史的景観を保全した.

文化財としても高く評価され,倉敷市指定重要文化財[指定日:平成28年10月17日]であり,国の登録有形文化財にも登録されている.

@2015-04


今日も街角をぶらりと散策.
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