お気に入りのコートの

日本の画家・絵本作家・装丁家である junaida[ジュナイダ] による『の』の1ページ.

『の』は,日本語の助詞「の」を一貫して用いた語りで構成されている.その構造は,「○○の○○」という連続的かつ抽象的な表現を通じて,終わりのない連想と世界の広がりを読者に体験させるものである.

たとえば,「わたしの お気に入りのコートの ポケットの中のお城の…」と続く文は,主語と述語の役割を曖昧にしながら,読者の想像力を果てしなく喚起する.文章は詩的でありながら,意味の厳密な解釈を避け,イメージの自由連想を誘導する構造となっている.

その文章に対応する junaida の絵は,緻密で幻想的な風景・人物・動物を織り交ぜながら,世界のつながりと広がりを視覚的に表現している.特に特徴的なのは,絵の中に物語を感じさせる隠喩的モチーフやキャラクターのリフレインが配置されている点であり,それにより「物語られていない物語」が豊かに想起される仕掛けとなっている.


'Beauty is truth, truth beauty,'-that is all Ye know on earth, and all ye need to know.
John Keats,"Ode on a Grecian Urn"

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