女優カマラの肖像

ハルティュン・カレンツ[Haroutiun Galentz/Kalents,Հարություն Կալենց, 1910-03-27/1967-03-07]の作品.ハルティュン・カレンツは, オスマン帝国のグルン[現在のトルコ共和国マラティヤ県の村落]に生まれ, エレバンで没したアルメニア人画家である.ソビエト連邦時代のアルメニア美術を代表する画家の一人であり, アルメニア・ソビエト社会主義共和国の名誉芸術家称号を授与された.彼の作品はアルメニア絵画に新しい潮流をもたらしたと評価されている.1930年代から1940年代にかけては装飾美術やグラフィック分野で活動し, 1950年代から1960年代にかけて最も多くの絵画作品を残した.

女優フマラの肖像[1961年]は, アルメニア国立美術館に所蔵される代表作の一つである.この作品のモデルはヴァレンティナ・ニコノヴナ・フマラと伝えられているが, 断定はできない.

カレンツの作品は, 構造的な統一感を持ちながらも透明感と繊細な筆致を特徴とする.彼は独自の芸術的感性を活かし, 人物の内面性や精神的強さを表現する肖像画を得意とした.女優フマラの肖像においても, 被写体の気品と知性を巧みに描き出しており, 文化人を題材とすることでソビエト時代の知識人・芸術家を顕彰する意図が込められていると解される.


'Beauty is truth, truth beauty,'-that is all Ye know on earth, and all ye need to know.
John Keats,"Ode on a Grecian Urn"

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