Egon Leo Adolf Schiele,1890-1918

 「シーレというとクリムトと同じ頃に活躍した表現主義の画家ね」
 「クリムトね。クリムトは結構好きなんだよ。
あの独特の画風がなんとも言えない。シーレとクリムトとの出会いは1907年。以来、クリムトの影響を大きく受けることになるね」
 「エロチシズムという点でいうと、クリムトよりもシーレのほうが強いわね。
確かにクリムトの影響は大きいけれども、シーレの個性は強烈のように思えるわ」
 「強烈ということにには時代背景にも一因があるのかもしれないよ。
何せ、シーレとあのヒトラーは同じ美術学校を受験していたらしいからね。もっとも、この受験が二人の人生を大きく分けることになる。
ヒトラーは失敗して画家として歩むことに自信を失くす。シーレは画家になる」
 「時代背景ということは、どの画家にも言えるんじゃないかしら?
でも、シーレは現代的な芸術なんてありはしない、なんて言っているよ」
 「そこが、シーレのシーレらしいところっていうんじゃないかな。
芸術家というのは一般人の基準では中々理解できないところもある。
シーレは未成年者略取で逮捕されたりもしている。こういう行動は、いろいろとあったにせよ、理解できるということは出来ないね」
 「芸術家は作り出す作品で評価してあげないと、いけないんじゃない?
もちろん、作品を深く理解するためには芸術家の人生を探るということも必要にはなるでしょうけど」
 「そうだね。そういうことは、芸術家に限ったことではないね。
その当時は極悪人としてレッテルを貼られた人でも後世に偉人として見直された人というのは沢山いるから。
ちょっと、シーレの話から逸れたけど、シーレの輝きは短かったために余計に光っているように思える」
 「確かに、短すぎたわね。
スペイン風邪にかかって亡くなった奥さんの後を追う様にして、同じ病気で亡くなったのは28歳のときだものね」