トレベニシュテの黄金のマスク

現在の北マケドニア共和国のオフリド湖[Lake Ohrid,Охридско Езеро]近郊のトレベニシュテ[Trebeništa,Требеништа]で発見された古代墳墓[ネクロポリス]から出土した葬送用の黄金製マスク.出土年代は鉄器時代後期の紀元前500年頃.

1918年,第一次世界大戦中にこの地を占領していたブルガリア軍の兵士たちによって偶然発見.その後,考古学者であるカレル・シュコルピル[Karel Škorpil]やボグダン・フィロフ[Bogdan Filov]らの手により本格的な発掘調査が実施.多数の副葬品が発見された.特に,黄金のマスク5点を含む,金製・銀製・青銅製の装飾品や器物が注目された.

黄金のマスクは非常に薄い金板から打ち出されており,人間の顔の形を写実的かつ様式化して表現している.眼・鼻・口・耳といった各パーツは単純化されつつも調和のとれた造形となっており,額部分などには幾何学模様も見られる.こうした様式はギリシャ美術やトラキア文化の影響を受けていると考えられている.

トレベニシュテ[Trebeništa,Требеништа]の黄金のマスクは,古代マケドニア地域における貴族階級の埋葬習俗と芸術的感性を象徴するものであり,バルカン地域の歴史を物語る貴重な文化遺産である.


'Beauty is truth, truth beauty,'-that is all Ye know on earth, and all ye need to know.
John Keats,"Ode on a Grecian Urn"

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