聖ヒエロニムス

14世紀中盤から後半にかけてプラハを中心に活躍したミストル・テオドリック[Mistr Theodrik]による作品.プラハ国立美術館所蔵.

ミストル・テオドリックはルクセンブルク朝ボヘミア王であり神聖ローマ皇帝[King of Bohemia and Holy Roman Emperor(of the House of Luxembourg)]のカレル4世[カール4世;Karel IV,Charles IV,Karl IV;1316-05-14/1378-11-29]に仕えた宮廷画家.チェコのゴシック美術を代表する巨匠であり,力強い造形と柔らかな表現を組み合わせた独自のスタイルで知られる.

この作品は, カレル4世[カール4世]がプラハ近郊に築いたカレルシュテイン城[Hrad Karlštejn,Karlštejn Castle]の聖十字架礼拝堂を飾る129枚の聖人肖像画群の一つとして描かれた.聖書をラテン語に翻訳した学者である聖ヒエロニムス[Saint Jerome,Sanctus Hieronymus]は, 知的な威厳を湛え, 彼を象徴する枢機卿の赤い帽子を被った姿で表現されている.

テオドリックの技法は, 輪郭を強調せずに繊細な陰影で肉体的な立体感を表現する「ソフト・スタイル」と呼ばれる独自の様式が特徴である.特に注目すべきは, 絵がパネルの枠を越えて額縁にまで描き込まれている点にあり, これは聖人が現実の世界へ現れ出ようとする宗教的な臨場感を演出している.現在は, 中世美術の傑作としてプラハ国立美術館[聖アグネス修道院]に所蔵されている.


'Beauty is truth, truth beauty,'-that is all Ye know on earth, and all ye need to know.
John Keats,"Ode on a Grecian Urn"

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