2002/11/16 (土) 晴れ
/*雑記*/
▼警視庁は日本信販専務ら元幹部8人を商法(利益供与)違反で逮捕。3年間に約2,800万円を総会屋に供与。

[橋に佇む美人の圖]

美人は何を思ひて川面
を見るや。その心根は余人
にては察することあたわず。

拾六日十弐時四拾伍分


2002/11/15 (金) 晴れ

 先日、風邪をひきたりて咳が出づるに因って医者の元に行きし。
すぐに帰ることあたふべしと思いしや、之は誤算となれり。すなわち、ドアを開け入りたると、あに多くの患者の待ちたるや。
 ゲホゴホとぞ、咳の大合唱を奏でたること。
 順番待ち致したるに、ゆうに一時間ほどを過ごしたり。
薬を貰ひし。近頃は処方なされたる薬の説明をば丁寧にもなされたり。さりとて、丁寧なる説明をば聞き逃がさんとぞ、聞き及ばんほどに、そのあまりにも専門的たる言葉の数多連なりて耳に届くに及びて、脳髄には空隙を生じるのみなり。こは、総合感冒薬、そが咳止め、こが抗生剤。こと、これを飲むと眠くなりし惧れあるによりて注意なされよ。etc...etc....
 眠くなりたるとの薬は、言違わず、真に眠気を誘いたり。昨日は誤ちて眠くなりたる薬といふを1錠のところを2錠飲みほしたり。気付ひたるも既にゴクリと飲み込みし後なり。覆水盆に何とやらなり。
 睡眠薬状態。身体のいづこかを動かさざりせば、吾が意識は宙を舞ひたり。スーっと入りいく。お陰をもちて非常に早く寝りたる仕儀とあひなる。
 そして、今日を迎えたり。薬を飲むのはよさんと思ひしが、やはり飲む。只でさえ、眠気を誘ひたる薬にて昨日の誤飲による後遺症があるらん。今日も、ただただ座りたるのみなるに意識が遠のきたる。くわうるに、歩きしときも、歩きしといふより道を浮遊しているという感じなる。スーっというより、フワリ、フワリという感覚なり。

[剣淵より戴きたる馬鈴薯の圖]

この後、馬鈴薯の一部はシチューとなりて吾が口に入りたり。
さすれば、こは、その一部なる馬鈴薯にとりては最期の姿とあひなりぬ。

[本日の更新]
[1] 「廻船式目


2002/11/14 (木) 晴れ

http://japan.cnet.com/JustIn/?mm に曰く、
「低価格でありながら多機能な、テレビ・チューナー内臓17インチ液晶ディスプレイ」
内臟ではなく内藏とは覺ゆれども、テレビ・チュウナァ内臟なる臟噐を想像したり。 しかるに、テレビ・チュウナァ内臟は内臟にテレビ・チュウナァが付されたるものか。あるいは、内臟にて出來るテレビ・チュウナァなのか。思ひ惱めり。
 さて、12日に空曇りたることを書きしが、その曇りたる原因は遠く中國より來たりし黄沙なりとぞ聞く。されば、天氣豫報は當たらざりし旨の我が言は當を逸したり。  

[車道を進む侍の圖]
之は何事にや。
幾人かの侍が天下の公道を
列をなして歩みたる。

[本日の更新]
[1] 萩藩における宰判
[2] 法の概念について


2002/11/13 (水) 晴れ
 所要にて鎌倉。  午後より空きたる時間を鎌倉散策に充てる。鎌倉驛の一つ手前の北鎌倉にて電車を降りる。五山の一つ、圓覺寺は直ぐ近くにある。圓覺寺は執權北條時宗由來の寺閣として知られるも、私は初めてである。秋であるからなのか、境内には思ひのほか遠足の中學生の姿多し。思ひ起こせば、私が鎌倉の地に足を踏み入れた最初も中學生のころと記憶する。そのときは、北鎌倉の驛を挾んで、圓覺寺と反對側に位置する源氏山の錢洗辨天などを訪れたり。しばし、空想に耽るに、錢洗辨天にては、硬貨を洗ふが常なれども、皆なぜか、たれいふともなく、札を浮かべし。之は欲の爲す技か、あるいは、無邪氣な幼さか。加へて思ひ出すに、同處にて私は過ちて體を濡らしたり。之もまた思ひ出なり。  
 さて、今囘の散策は圓覺寺から狹き道を辿りて、また五山の一つの建仁寺に至る。さらに、僅かばかりの道を辿りて、巨福呂の切り通しを拔けて鎌倉の象徴たる鶴岡八幡宮に赴く。而して、小町へは行かず東に逸れて、幕府跡たる白幡神社を目指し、時代は下りて南北朝の悲劇の舞臺たる鎌倉宮に至る。
 この邊りは、以前はしばしば散歩した處なり。然れども、道はその時分より格段に良きやうに變はりたり。
 鎌倉宮に至りて、取つて返し、次は北條氏所縁の地へと足を運ぶ。三鱗の紋多し。執權舘跡を經て、北條氏終焉の地たる高時切腹の地に至る。彼の地は室町時代までは伽藍が構へられけりといえども、今は夢の址なり。

[参考] 
[1] 鎌倉幕府歴代将軍
[2] 鎌倉幕府歴代執権


2002/11/12 (火) 曇り

 昨日と今朝の天氣豫報で今日は晴れて温度も上がると云いしが、本日は暖かなるも日を朗らかに拜むこと適はず。豫報なるは、科學の衣を裝ひし占ひに違はずと考へれば、さして外れたるを以つて取り上げることも愚かなることか。  半ば、恆例となりし京への逗留のための準備は昨日より怠り無く進む。
 さて、行政と合い争ふといふは極めて難儀なることなり。行政は住民を統治するための機関であり、故に多くの情報の集積するところであるは余人の認める処なり。また、そも、行政は住民の味方であって、その敵対するところにも、争うところにもあらず。さればこそ、一度、行政と住民との間に軋轢の生じて、司法の手に寄らざれば解決の道の見出すことの困難に至るに及ぶ住民の心中や察してあまりあるものなり。之はある種の悲劇なり。
 また、斯くなる争いにありては、日頃より多くの情報を住民の協力を以って集めたる行政の立場に立ちし側の力が住民の力より勝るは必定なり。之、諫早湾にて争える事案において、差し止めを求める人々の前で、確実に争える工事の進むに亦同じ。
 斯く考ふるに、三重縣が日本下水道事業團に委託した下水道關聯の電氣工事に談合がありしとて、工事代金など計約1億3000萬圓の返還請求をなした住民訴訟に関して、住民訴訟に先立つ住民監査請求に1年の期間制限が適用されるかと云ふ爭點について、二審・名古屋高裁判決をば「判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある」として、破棄せし最高裁第三小法廷(上田豐三裁判長)の決断は評価に値するにやあるらん。


2002/11/11 (月)
 ユビキタス超環境には、「ギガ・ナノの大小空間でITリソースを消費できる」、「實世界と假想世界の融合」、「デヱタの共有と發信について個人と組織が對等」、「自然環境や産物情報の日常化」などの特質があるとの言説あり。  
 デヱタの共有と發信についての個人と組織の對等化。これは、現在の段階だと、例へばビッグログなどに相當か。 ビッグログも玉石混交と云へるも、中には朝日とか讀賣、日經のサイトよりも有用なもののあることは云ふを待たず。  
 なほ、それのみにては、デヱタの需給の對等化、ボーダレスといふことに過ぎないと思居至れり。  
 そも、ネットワァクとかユビキタスとかが本當に「凄い」ものである、さういふものに化けるのだとするなれば、ネットワァクの世界がネットワァクに閉ぢたもの留まらず、「實」社會に開いたものになるといふ點に可能性があるのではないか。
 消費者によるネットワァクを通じた大量購買、一般市民による部數限定の出版の試み。一般消費者參加型の商品開發。家で不要になりし書籍の交換システム。  
 かうしたものは、インターネットでなくても實現は可能なり。いわんや、ユビキタスでなくとも實現は可能なり。されど、ユビキタス社會が實現すればと、さらにトランザクション・コストが低下し0に近くなる可能性のなきや否や。企業の生産性が向上するとか家庭の生活が便利になるといふやうな、馬車を2臺繋げるやうなものではなく、それを超へた世界がやつてくる。  
 このトランザクション・コストを0にするといふことが企業の第一の存在理由だとするに、その存在理由が薄くなること必定なり。 されば、消費者よりも早く消費者の「内心」に氣付いて消費者よりも早く形にするか、法的な參入規制を行つてもらはない限りは「企業」が「消費者」に打ち負かされることにならん。  かうなると、商品・サァビスの需要側と供給側との境界が曖昧になり、廣大に擴がる情報の海の中から必要な情報を選別するといふ「目利き」が重要性を持つてくるやうになるやうに思ふ。  これ將に、彼の地のA.トフラー氏がプロシュウマと呼んだ階層が本當に出現する可能性があるといふか、これ真のユビキタス社會なりしか。そして、その道程で、かつてローマ市民が働かないで統治する社會形態を實現したことの現代版が實現するやうな氣もするもの也。


2002/11/9 (土) 晴れ ときどき 曇り 、 雨
 すっきりしない天気。
朝、少し寒いとはいえ晴れていたので蒲団を干す。と、その矢先に俄かに空が曇り、雨までまばらに。これは大変と蒲団を入れようとするや否や、また晴れ間が広がる。
晴れるなら晴れる、雨が降るならザァと降るとどちらかにはっきりしてほしいと言いたくなる。
 しかし、そうは白黒はっきりしないというのがどうやら現実のようだ。
 昨日、名古屋地検特捜部が名古屋刑務所(愛知県三好町)の刑務官5人を特別公務員暴行陵虐致傷罪の容疑で逮捕したという。特別公務員暴行陵虐致傷罪というのは、警察官、検察官、刑務官などの公務員が職務上で容疑者や受刑者に暴行や陵虐を加えるという犯罪。法定刑は7年以下の懲役か禁固だけれども、怪我を負わせると傷害罪と同様に懲役10年が最長となる。
 容疑の内容は今年の9月に男性受刑者が集団暴行を受けて腹腔内出血の大怪我をさせたというもの。刑務官のこのような容疑での逮捕は先例がないという。テレビではしきりに拘束のための革手錠ベルトの問題点が指摘されていた。刑務官がなぜ、受刑者を保護房に入れたのか、どうしてそのような扱いをするに至ったのかは全く触れられていないので分からない。報道されていることからすると、刑務官に非があるのは明らかということになる。しかし、それだけでは、どうしてということは、やはり分からない。そうしたことは、やがて裁判で明らかになっていくだろう。
 鬼平こと長谷川平蔵は、テレビでは白黒はっきりとさせてくれて気持ちがいい。その平蔵は現在の刑務所の前身と言える石川島人足寄場を作って、火附盗賊改方に加えて寄場取扱にも任じられている。その平蔵ならどうなっていたのかと、つい想像してしまった。

▼(特別公務員暴行陵虐)第195条
 裁判、検察若しくは警察の職務を行う者又はこれらの職務を補助する者が、その職務を行うに当たり、被告人、被疑者その他の者に対して暴行又は陵辱若しくは加虐の行為をしたときは、7年以下の懲役又は禁錮に処する。
(2) 法令により拘禁された者を看守し又は護送する者がその拘禁された者に対して暴行又は陵辱若しくは加虐の行為をしたときも、前項と同様とする。

▼(特別公務員職権濫用等致死傷)第196条
 前2条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。