月曜日, 6月 07, 2004

ノキアの変化

FTとEconomistが「折りたたみ型」などの携帯電話機に対する需要の読み間違いによるノキアのシェアの低下(*1)の原因として2つのものを挙げる(*2)。ノキアは、サムスンがハイ・エンド市場から攻め、中級市場でソニー・エリクソンが地歩を固め、シーメンスはロー・エンド市場で息巻く中で時代遅れの二正面作戦宜しく全方位戦略を採っている。

携帯電話端末はファッション性を増し複雑なビジネスとなっている。
その中で、ノキアは過去の成功体験ゆえの失敗に陥った。

ブランドというものはプラスの価値を持つことが当然のように考えられているけれども、ノキアの例によって、実はブランドというものはマイナスの価値も持つということが改めて確認出来る。

そして、携帯電話機の市場のコモディティ化。

その結果として、製造をEMSにアウトソース可能になっただけではなく、EMSの中にODMs(Original Design Manufacturers)として設計までも手がける企業が出現し始めたことで、携帯電話端末における大規模垂直企業の優位性が消失しつつあるというもの。

しかし、ノキアも黙っているわけではなく、同じく5月31日付のFTの記事(*3)によると、
" Analysts said this indicated price cuts were having an impact on sales as Nokia introduced the most aggressive price cuts across its range to its low-end phones. "
それだけではなく、
" But Nokia has also regained market share at the top end, according to retailers, with its colour screen 6230 model becoming a top seller and with its first mainstream "clamshell" phone, the 7200, also proving highly popular. "

と攻勢に転じ、シェアを急速に回復している。弱点とされたところを早急にカバーした形となっているけれども、市場の構造がコモディティ化に向っているという展開の中でどこまでノキアの優位性が持続するかは不透明。


*1:携帯電話:ノキアの世界シェアが急低下 2004年第1四半期の世界の携帯電話出荷台数は1億5270万台で、前年同期比29.3%増加した一方でノキア社が同17.2%増にとどまり、シェアが29.3%へと低下。

*2:The Finnish company has dominated mobile telecoms but has been slow to recognize recent challenges to its market share(FinancialTimes.com / May 7 2004)

Special report Mobile phone;Battling for the palm of your hand(The Economist May 1st 2004)

*3:Nokia recaptures lost market share Requires subscription
Financial Times, May 31, 2004
By Robert Budden in London

[暦注]
旧暦4月20日、丁巳、大安、三碧木星、閉(とづ)、危(き)