

デンマークの彫刻家であるヘンリック・シュタルケ(Henrik Starcke, 1899-4-16 – 1973-6-5)の作品。
デンマーク政府が1953年に国際連合へ贈った木彫作品であり、ニューヨークの国連本部、信託統治理事会議場を飾る彫刻として知られている。贈呈日は1953年6月3日、素材は彩色を施したチーク材、寸法は高さ約3.2メートル、幅約2.6メートル、奥行き約0.7メートルとされる。
この議場は、デンマークの建築家フィン・ユールが設計し、同国が贈ったものである。彫刻は議場の装飾の一部として制作された。国際政治の舞台となる空間に、人間の精神的な拠りどころを据える意図があったと考えられる。信託統治理事会は、自治を完全には獲得していない地域の将来を扱う機関であった。その議場に「希望」を主題とする作品が置かれたことには、象徴的な意味がある。
作者自身の言葉も残されている。木の幹が自然に育つ姿はより大きな生命の到来を予感させる。その幹を用いた彫刻によって、この場に集う人々に人類の偉大な夢を実感してほしい、という趣旨である。素材の生命感がそのまま主題の表現となっている点が、この作品の核心である。彫刻家は、木が持つ成長の力に、人類が未来へ向かう力を重ねた。
シュタルケは、コペンハーゲンの政治家で哲学者でもあったC・N・スタルケの子として生まれた。兄は政治家のヴィゴ・スタルケである。王立美術アカデミーで1920年から1924年まで画家として学び、1929年からは彫刻に専念した。1938年から自由展(デン・フリー・ウドスティリング)に出品し、1940年にエッカースベア・メダル、1960年にトーヴァルセン・メダルを受けている。デンマーク彫刻界で確かな評価を得た作家である。
彼は各地を旅し、古代や中世の美術に強い関心を寄せた。その影響は造形に表れている。作風は簡素な形から空想的な形まで幅が広い。陶片、火打石、砂利、煉瓦、錆びた釘など、一般的ではない素材もしばしば用いた。空想的な生き物を生み出す作家としても知られる。1964年にコペンハーゲン空港の第2ターミナルのために制作した「四つの風」も、その代表作の一つ。
「人類と希望」は、こうした作家の資質が、公的な場にふさわしい象徴性と結びついた作品である。素朴な素材の力と古代美術に学んだ造形感覚が、国際機関の議場という空間で一つの理念を担っている。戦後世界が平和と協調を模索した時代に、北欧の小国が贈った静かな祈りの像として、今も見る者に語りかけている。
'Beauty is truth, truth beauty,'-that is all Ye know on earth, and all ye need to know.
John Keats,"Ode on a Grecian Urn"
