美と歴史の博物館
|年表[0-999][1000-2000]|イスラム王朝興亡図

正当カリフ時代
アミール・アルムーミニーン
632年-661年。マホメットの親友アブー=バクルがイスラム共同体ウンマの指導者として初代カリフ就任(632-634)。シリア、イラク地方への遠征開始。
第2代カリフ、オマル1世(634-644)はイスラム暦ヘジュラを採用。635年:ダマスクス占領。翌年、ササン朝ペルシャをカディシーの戦いで撃破。
638年:エルサレム占領
641年:ビザンツ帝国との戦争でアレクサンドリア占領。
642年:ニハーワンドの戦い。ササン朝統治能力喪失。
第3代カリフ、ウスマーン(644-656)
シリア総督ウマイヤ家の勢力増す。ウスマーンは656年暗殺。
656年:第4代カリフにムハンマドの従兄弟のハーシム家アリー就任。ウマイヤ家と対立し暗殺される。後にアリー派がシーア派となる。

ウマイヤ朝時代
Umayya
661年:第4代正統カリフ、アリーが暗殺された後にクライシュ族ウマイヤ家のムアーウィア(Muawiyah I,初代661-680)がダマスカスを首都としてウマイヤ朝樹立。
原則としては、イスラム教に改宗した非アラブ人は人頭税と地租を免除されるはずが、人頭税のみの免除に留まったことや官僚をアラブ人が独占したことからイラン人などの反発を招く。
アル・ワリド1世の時代に、イベリア半島に侵攻し711年に西ゴート王国を滅ぼしスペインからインダスまでの最大版図を実現。
こうした快進撃も、732年のトゥール・ポワティエの戦いでフランク王国宮宰カール・マルテルにより撃退されたことにより勢いが止まる。
750年にササン朝ペルシアの流れを汲むイラン人の協力によって、アッバース家のアブル・アッバースがウマイヤ朝を倒す。ウマイヤ一族は追討を受けるも、第10代カリフの子孫アブドゥル・ラフマン(Abd al-Rahman)はアッバース家の追求を逃れイベリア半島に隠れ756年に後ウマイヤ朝を開く。
ウマイヤ朝コイン

アッバース朝時代
'Abbas
イスラム教を創設したムハンマドの血を引くアッバース家のアブル・アッバースが樹立した帝国。アラブ人至上主義を標榜したウマイヤ朝と異なり非アラブ人も平等に登用したために、アッバース朝以降をウマイヤ朝と区別してイスラム帝国と呼ぶ。首都はバクダッドに置かれ、バクダッドは隆盛を誇り文化の一大中心となる。これにより、ヘレニズム文化、ペルシア文化、インド文化などの融合が起こる。751年にはタラス河畔で唐と戦い、紙の製法が伝わる。
後期になると、モロッコにはイドリース朝(788-)、チュニジアにはアグラブ朝(800-)、ホラサンにはターヒル朝(820-)、イランにはサファール(867-)、サーマーン朝(874-)などのイスラム地方王朝が樹立され瓦解していく。
909年にはアルジェリアにシーア派の一派イスマイル派がファティマ朝を樹立。さらに、932年には同じくシーア派がブワイフ朝を打ち立て、946年にバクダッドを制圧したことでアッバース朝カリフは政治的権力を喪失し象徴化。カリフそのものは1258年にモンゴル帝国により滅ぼされるまで存続。
アッバース朝コイン

ファティマ朝時代
909-1171
あるいは
3カリフ時代
12イマーム派のブワイフ朝がアッバース朝カリフを正統性の下に、大アミール(アミール=ル=ウマラー,大将軍)として支配を行ったのに対して、北アフリカに版図を持つファティマ朝はカリフを自称しアッバース朝カリフの正統性を否定。
ウマイヤ朝の流れを汲む後ウマイヤ朝もカリフを称したために、アッバース朝を東カリフ、ファティマ朝を中カリフ、後ウマイヤ朝を西カリフ国と呼ぶ。
カイロを首都としたファティマ朝(中カリフ国)は、909年にクルド系の宰相サラーフ=アッディーン(サラディン)により倒される(アイユーブ朝開始)。サラーフ=アッディーンはアッバース朝の正統性を肯定、アッバース朝カリフよりスルタンの称号を受けたために3カリフ時代は終焉。
ファティマ朝コイン

セルジューク朝(1038-1194)
アイユーブ朝(1169-1250)
バクダッドを支配しアッバース朝カリフを擁立していたブワイフ朝はセルジューク一族のトゥグリル=ベクにより倒される。これにより、ベクはカリフからスルタンの称号を受ける。シーア派全盛の時代は終焉しスンニ派が勢いを増す。
セルジューク朝は第3代スルタン、マリク=シャーの後は地方分立し4小セルジュークに。このうち、中心となったイラク・セルジュークが1194年にアヌーシュ=テギンによるホラズム朝に倒されたことでセルジューク朝は事実上滅亡。
しかし、そのホラズム朝も1220年にモンゴル帝国の前に滅亡。
モンゴル帝国のフラグ=ハン(1218-65)は1258年にバクダッドに攻め入りアッバースの正統カリフを断絶。
ムラビト朝コイン

13・14世紀 イル=ハン国(1258-1353):イラン、イラク
マムルーク朝(1250-1517):エジプト、シリア
ティムール朝(1370-1507):イラン、イラク
ナスル朝(1230-1492):イベリア半島

オスマン朝
Ottoman(1299-1922)
小アジアを中心に隆盛を誇ったトルコ系イスラム帝国
※サファビー朝ペルシア(1501-1736)
ムガル朝(1526-1858)

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