安楽

鹿児島県から宮崎県南部にかけて特に多く分布する名字であり、南九州を代表する地名姓の一つ。

この名字の主要な発祥地として挙げられるのが、現在の鹿児島県志布志市志布志町安楽である。旧国では日向国諸県郡に属した地域であり、「安楽」という地名は室町時代の史料にも確認される。したがって、「安楽」という名字は、まずこの地名を名字として称したことから成立した地名姓と考えることができる。

この地域の安楽は、単なる近世の村名ではなく、中世の在地領主層と深く結び付いている。『日本歴史地名大系』によれば、平安時代末期には救二院氏の一族の中に、安楽を名字の地とする庶流が存在していた。1189(文治5)年ないし1190(建久元)年頃の史料には安楽平九郎為成が登場し、安楽氏は平家方に属していたことも記録されている。つまり、安楽という名字は、少なくとも鎌倉時代初頭まで遡る中世在地領主の名字として確認できる。

さらに系譜伝承では、この安楽氏伴氏の流れをくむ肝付氏と結び付ける説がある。すなわち、肝付兼俊の弟・俊貞安楽氏を称したとされ、その後、戦国期に島津氏に従い、江戸時代には新城島津氏に仕えたという。但し、こうした中世武家の系譜には後世の系譜整理や伝承が含まれる可能性もあるため、すべてを同じ確度の史実として扱うことには慎重さが必要。

一方、安楽姓には、志布志の安楽を起源とする系統だけでなく、鹿児島県霧島市牧園町宿窪田の安楽という地名から成立した系統も存在するとされる。同地には江戸時代の門割制度における安楽門があり、これを基礎として明治期に安楽姓が成立した可能性が指摘されている。また、鹿児島県日置市伊集院町下谷口や宮崎県宮崎市高岡町下倉永にも、門名としての安楽が確認されている。

デザイン名字.





















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