仮屋

鹿児島県をゆかりの地とする名字。鹿児島県・宮崎県に多く、薩摩・大隅を中心とする南九州との結び付きが強い。

仮屋という語は文字どおりには「仮の屋敷・仮の建物」を意味するが、名字の由来として重要なのは、単なる一時的な小屋ではなく、地域を統治するために設けられた施設としての「仮屋」である。特に薩摩藩では、藩領各地に(ふもと)と呼ばれる武家集落が形成され、その中心に領域を管理する施設として「仮屋」が置かれた。仮屋は代官所に近い機能を持ち、地域行政の拠点となったほか、藩主や役人の巡見・参勤交代などの際の宿泊所としても利用された。

この意味での「仮屋」は、薩摩藩特有の外城制度を理解することが名字の成立を考えるうえで重要。薩摩藩では鹿児島城下にすべての武士を居住させるのではなく、領内各地に武士を配置して麓を形成した。仮屋はその地域を統括する行政的中心であったため、そこに居住した人々、あるいは仮屋に関係する家が、居住地や施設名をもとに「仮屋」を称するようになったと考えられる。これを裏付けるように、鹿児島県内には江戸時代の門割制度における「仮屋門」に由来するとされる「仮屋」姓の分布が多数確認されている。

但し、仮屋姓のすべてを薩摩藩の仮屋に由来すると断定することはできない。宮崎県にも「仮屋」という地名が複数存在し、例えば宮崎市跡江では、江戸時代に延岡藩の代官が年貢収納のために当地へ出向いた際の宿泊場所が「仮屋」と呼ばれ、後に地名となったという伝承がある。また、都城市高崎町の「仮屋」は、島津氏領の外城制度における地頭仮屋に由来する地名とされる。

このように「仮屋」という地名そのものが各地で独立して成立し得るため、名字についても複数の発生源を考える必要がある。

なお、仮屋から派生した名字として仮屋園仮屋薗もあり、こちらも鹿児島県に強く分布する。仮屋園については、鹿児島市本名町に江戸時代に存在した仮屋園門や、現在の霧島市溝辺町竹子の小字である仮屋園を由来とする説が確認されている。

デザイン名字.





















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